劇場公開日 2008年9月13日

「ゲーロゲーロゲロ、カエルの子♪」パコと魔法の絵本 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ゲーロゲーロゲロ、カエルの子♪

2018年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 夕方、テレビで舞台挨拶&インタビューを見ていたら、急に観たくなった。というより、どぎついメーキャップのおかげで誰が誰だかわからないほどなので、キャスティングの記憶が消えないうちに見たかっただけかも・・・と、覚えていたはずなのに、貫地谷しほりや林家ペー・パー子なんてどこに出てたんだ?!独特の色彩世界に紛れ込んでいたのかな・・・

 『ガチ・ボーイ』に続いてまた記憶モノ?などと似たような設定に興味をそそられなかったのですが、クランクアップしたのが随分前だということを知りました(ほぼ同時期?原作は先だし、見なきゃ駄目だな・・・と)。この間、CG合成や音楽の編集にかなりの時間を要したとかで、その完成度はハリウッドCG作品に近づいたと思われるほど。特に場面に応じた細かな音楽の編集は素晴らしいものでした。

 元は舞台劇であるこの作品。その劇っぽい部分と、大貫(役所広司)とパコ(アヤカ・ウィルソン)によるメルヘンチックな空間、それに泣き笑いを発揮してくれる病院内の面々のバランスが上手く構成されている。中島哲也監督の『下妻物語』や『嫌われ松子の一生』から毒を抜いた感じで、子供でも十分楽しめる内容になっていました。

 パコを演ずるアヤカ・ウィルソンは『ローズ・イン・タイドランド』のジョデル・フェルランドや『パンズ・ラビリンス』のイバナ・バケロといった雰囲気もあったし、彼女自身がおとぎの国からやってきたようなオーラがあった。演技よりも雰囲気。その魅力を役所さんが上手く引き出していた。土屋アンナは『下妻』のまんまだったけど、小池栄子のイメージを覆すような演技が冴えていました。

 全体の完成度は申し分ないのだけれど、ちょっと問題があるとすれば阿部サダヲが目立ち過ぎといった点。さすがにラストではその理由も明らかになるのですが、ストーリーテラーとしての立場上、すべてが作り話だったのじゃないかと勘ぐってしまいます。まぁ、加瀬亮をも感動させたんだから、阿部サダヲが真の魔法使いだったのかも・・・

kossy