容疑者Xの献身 : 新作映画評論

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容疑者Xの献身

劇場公開日 2008年10月4日
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容疑者Xの献身 10月4日より日劇2ほかにてロードショー

人間ドラマにこそ比重を置いた、ささやかな良心作

画像1(C)2008 フジテレビジョン
/アミューズ/S・D・P/FNS27社
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「西遊記」「HERO」に次ぐフジテレビ月9ドラマの映画化と聞けば、映画を愛する者なら嫌悪する。しかし「ガリレオ」劇場版は、意外にも「映画」であることを志向したささやかな良心作である。TVシリーズで確立した戯画的で軽妙なノリを最小限に抑え、番外編的な位置づけにある原作に忠実に、人間ドラマにこそ比重を置いたのだ。

人生に絶望していた高校教師(堤真一)が、殺人を犯してしまった隣人の母(松雪泰子)と子を救うべく、頭脳を生かして完全犯罪を打ち立てる。警察に協力する物理学者(福山雅治)は、旧友である彼との天才対決に挑むのだが、謎解き以上に犯罪をめぐる人間の暗部や業が丹念に描かれていく。ただし大きな欠陥が最低3つ。冒頭に用意されたファン・サービス的大掛かりな場面は作品スタイルを壊し、福山×堤が極限下で対峙する雪山登山ロケは、セット撮影にしか見えずスペクタクル性を欠く。そして、堤×松雪の感情が横溢するクライマックスは、カットを割りすぎてサイズも不適切。俳優の表情をじっくり見せるべき肝心なシーンであったが、TV屋的な馬脚を現してしまった。

とはいえ、もはや死語と化した標語“めざせハリウッド”の下、「映画」を冒涜し続けてきた中枢にあって、アンチな精神を感じさせ、まるでアスファルトに咲いた一輪の花のよう。「実に面白い」本作の出現をきっかけに旧体制をぶっ壊し、“脱・TVドラマに毛の生えた映画のようなもの”へと舵を切ることで、お台場の本丸を海に沈めた「252/生存者あり」への回答にしてほしい。

清水節

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(C)2008 フジテレビジョン/アミューズ/S・D・P/FNS27社

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