劇場公開日 2008年7月19日

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「嫡子アリ?」ワン・ミス・コール kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0嫡子アリ?

2020年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ジャパニーズ・ホラーは金になると踏んだのか、またしてもハリウッド・リメイクである。それでも「もしかすると怖いかもしれない」「もしかすると三池監督作品より面白いかもしれない」などとあり得ない期待を胸に、いざシネコンへ。

 オリジナルのプロットを忠実に再現しただけだった。しかも、わかりやすく。そのわかりやすさが徒となって恐怖感は著しく減少。まずは最初の設定が説明調といったところでしょうか・・・オリジナルでは自分の番号から自分の携帯へ、しかも未来の時間で自分の声(断末魔とセット)が聴こえてくるという、ドラえもん的タイムパラドクスを含んだ、オバカな発想が面白かったのに、今リメイク作では、死んだ人の携帯からかかってくるのだ。あれ・・・面白くない・・・というか、まともな頭の人の発想だ。

 日本の怪談とか古典的ホラーだと、このくらいのまともな脚本でも味わいがあるんだろうけど、ホラーに慣れきってしまってる現代人には物足りないのだ。主人公がとんでもない間違いをおかすとか、死の予定時間が突如狂うとか、観客を騙すギミックがほしいところ。最後のどんでん返しはオリジナルにほぼ似てる(誰が死ぬかという点で)のですが、結果が読みやすいだけに初見の人にもつまらなく感じることでしょう。

 オリジナルより優れているのは気味悪い人形とか、ムカデの大群とか、小物ばかり。着信音にしたって可愛らしいメロディになってるし、ビックリさせる効果音も映像が伴ってないし・・・。なんといっても三池作品に見られる、「これでもか、これでもか」と波状攻撃してくるシークエンスやスピード感が足りないのことが最大の弱点。まぁ、裏を返せば、ストーリー自体は大したことないってことなんでしょうけど・・・

 本国アメリカではこれでも2600万ドルの興行成績があったのだから、製作側としては喜んでいることでしょう。なんせ知ってる俳優はエドワード・バーンズだけだったくらいだし、俳優には金をかけてないハズ。ハリウッドデビューを果たしたデーブ・スペクターなんてノーギャラで出演してるような気もするし(笑)。恐怖におののく演技が全く感じられないくらいの主演女優シャニン・ソサモンといい、演出には全く力を入れてないのが本当に残念。

〈2008年7月映画館にて〉

kossy