イントゥ・ザ・ワイルド : 新作映画評論

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イントゥ・ザ・ワイルド

劇場公開日 2008年9月6日
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イントゥ・ザ・ワイルド 9月6日よりシャンテシネ、テアトルタイムズスクエアほかにてロードショー

「アイ・ミス・ユー」と呟く陰で苛烈と寛容が激しく競り合っている

画像1(C)MMVII by RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC
and PARAMOUNT VANTAGE, A Division of
PARAMOUNT PICTURES CORPORATION.All Rights Reserved.
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一歩まちがえば、自己愛と自己破壊の葛藤を天秤にかけた話になる。もう一歩まちがえば、愚かな甘ったれの話になる。だが、そうはならない。見終えて思うのは、この映画を撮ったショーン・ペンの並外れた愛情の深さと、当人も制御できないほどの業の深さだ。

裕福な家庭に育ち、優秀な成績で大学を卒業した青年(エミール・ハーシュ)が、大学院の学費を寄付し、IDとクレジットカードを燃やし、ひとり放浪の旅に出る。

そこまではありがちな設定だ。旅の途上で青年はいろいろな人に出会う。これもよくある話だ。が、「イントゥ・ザ・ワイルド」はラディカルな映画だ。新鮮で痛烈で底の深い気配は一貫して衰えない。青年がくぐり抜ける風雨や太陽の感触を……彼が出会う人々の呼吸や肌合いを……観客は実感しつづける。

つまり、青年は「世界と直面」している。観客も、彼を通じて世界と直面する。あまりにも根源的で、通常なら思わず避けてしまいそうな体験だ。青年が漂流する世界の基底には、深い自然と深い人情が横たわっている。苛烈と寛容、残酷と幸福は、どちらも紙一重だ。ペンはそこに眼を据え、青年を神話のなかに閉じ込めたりしない。失敗を描き、救援を描き、幸福と不運と衰弱を描き、なおかつ青年の「勇気」を、むごい「宿命」よりも大きな字で明記する。声には出さぬが、ペンの唇は「アイ・ミス・ユー」の形に開かれている。

芝山幹郎

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ABOUT THE MOVIE

  • イントゥ・ザ・ワイルド 画像2 [拡大画像]
  • イントゥ・ザ・ワイルド
  • 「インディアン・ランナー」「クロッシング・ガード」のショーン・ペン監督が実話に基づくジョン・クラカワーのノンフィクション「荒野へ」を映画化。恵まれた環境で育ちながらも、人生に不満を抱えていた青年がアメリカを横断。その果てにたどり着いたアラスカの荒野で死ぬまでの心の軌跡を描く。主演は「ロード・オブ・ドッグタウン」「スピード・レーサー」のエミール・ハーシュ。共演にマーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、キャサリン・キーナー、ビンス・ボーンら。
  • 原題:
    Into the Wild
    監督・脚本:
    ショーン・ペン
    製作総指揮:
    デビッド・ブロッカー、フランク・ヒルデブランド、ジョン・J・ケリー
    製作:
    アート・リンソン、ショーン・ペン、ウィリアム・ポーラッド
    原作:
    ジョン・クラカワー
    撮影:
    エリック・ゴーティエ
    音楽:
    マイケル・ブルック、カキ・キング、エディー・べダー
    出演:
    エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、ジェナ・マローン、キャサリーン・キーナー、ビンス・ボーン、クリステン・スチュワート、ハル・ホルブルック
    2007年アメリカ映画/2時間20分
    配給:
    スタイルジャム
  • 9月6日よりシャンテシネ、テアトルタイムズスクエアほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)MMVII by RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC and PARAMOUNT VANTAGE, A Division of PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved.

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