劇場公開日 2010年12月10日

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「ラッセルご苦労」ロビン・フッド kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ラッセルご苦労

2019年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ウィリアム・ハートやマックス・フォン・シドーが渋い演技。ストーリーも実在の王や史実と絡み合わせ、ロビン・フッドがいかにしてアウトローになっていったのかを再現している。21世紀の流行でもある“ビギニング”、“エピソード0”といったイメージ。“正義”という言葉を使うのは為政者のみ。税金に苦しめられている庶民や諸侯の反乱も描かれてはいるが、これもロビン・フッドの本当の父親である石工ロングストライドが広めた、「政治がよくなるまで何度でも立ち上がれ」といった革命的思想によって信頼を得ているところが面白い。また、序盤ではイスラムの捕虜を惨殺したことを反省するロビンの弁も現代的テーマとなっていた。

 リチャード王は映画と同様、1199年に死去しているが、通常のロビンフッドの物語ではほとんどが生きていたはずだ。そして悪政の中心は王の座を継いだ末弟のジョンに移行する。十字軍による国費の支出は莫大なもので、増税しなければ王室運営もままならない。そこで、税徴収の役目を果たすのがフランス王フィリップの手下ゴッドフリー(ストロング)だ!悪役ばかりのイメージが強い彼だが、やはりインパクトがあるのです。

 リドリー・スコットだけあって迫力ある戦闘シーンも唸らされるが、それよりも社会派の内容を持ったストーリーがいいと思う。単なるスペクタクル監督ではない。その辺りが弟トニー・スコットと違うところだ。

kossy