劇場公開日 2008年4月18日

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「トム・クルーズのセルフパロディに笑った」大いなる陰謀 あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5トム・クルーズのセルフパロディに笑った

2009年1月5日

悲しい

難しい

公開時、興行、批評ともにまったく振るわなかった本作。でも、私はこれを観る一日前に「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」を観てたので、時系列的につながり興味深く観れました。

本作は、昨年話題になったルポ「貧困大国アメリカ」を読めば、レッドフォード演じる教授と生徒のやりとりがとても面白くみれます。つまり、アメリカでは実際に教育の世界に兵隊リクルートがあるという点で。

本作の出演、監督を務めるロバート・レッドフォードが共和党嫌いなのは有名な話。でも、だからといって映画に独自の政治性を持ち込まない所に熟練した博識を感じます。つまり、映画で安易に答えをだそうとしてない姿勢がうかがえるのです。

次期大統領と目される共和党政治家(トム・クルーズ)、買収され単なるコマーシャリズムとプロパガンダに走る共和党よりのメディアに長く勤める女性ジャーナリスト(メリル・ストリープ)、そしてベトナム戦争にもいったカリフォルニア大学の政治学者(レッドフォード)。これだけの役設定を見れば、本作は反政府的になりっこありません。

この作品の肝は、政治映画というよりそれらの重層的な設定を活かした現在のアメリカのあるがままの姿を描いた映画なのです。だから政治的メッセージを求める人は、本作は向かないでしょう。

末筆ですが、トム・クルーズどことなくやつれましたね。そして、「神様が私を見てくれている」といったフレーズで天を見上げるシーンは最高です。自分自身をパロディできるユーモアのセンスがあるなら、この人は大丈夫でしょう。見なおしました。

あんゆ~る