劇場公開日 2004年10月9日

「古典的な恐怖感」クライモリ(2003) Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0古典的な恐怖感

2017年9月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

正直、「サランドラ」の森版だ。見知らぬ地でおぞましい顔の狂人に襲われるという内容。「アメリカの田舎は怖い」映画の典型でもある本作は、新鮮味ゼロながらシンプルかつ王道なストーリーで非常に面白い。かなり残虐描写がキツいため観る人こそ選ばれるが、追跡と逃亡や攻防だけなので観やすくて良い。また、スプラッタに重点を置きすぎておらず残虐さと共にひしひしと伝わる緊張感も見事に描かれている。序盤でかなり不快な思いにさせられ、中盤ではハラハラドキドキの追跡と逃亡、終盤では怒り爆発の反撃開始。製作陣はホラーの真髄をしっかりと心得ているようだ。演者も実に演技力のある俳優陣をキャスティングしている。スプラッタに耐性があれば是非観て欲しい。人喰い狂人についてだが、近親相姦の繰り返しで異常が起きたという、常識や教養の欠片もないただその一家以外の人間を餌と思っている狂人だ。体に異常がある代わりに、身体能力が優れているという実際にはあり得ない特徴を持っているが、「13日の金曜日」のジェイソンの様な殺しても殺しても甦る不死身の連中ではない。よって人間の手で殺すことができる。下手に狂人が不死身過ぎても更にあり得なさすぎるため、これくらいの方が良いと思う。そのなかで本作の欠点はさほど怖くないということか。基本サバイバルのため、恐怖表現は心理的なものより残虐さという物理的なものが多い印象だ。この後本作はシリーズ6作品にも及ぶフランチャイズ作品となったが、本作の完成度が最も高い。知名度は微妙かも知れないが、名作ホラーの1つに残してほしい作品だと思う。

Mina