劇場公開日 2003年10月18日

「マンションで犬を飼わない方が良い理由」ほえる犬は噛まない 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0マンションで犬を飼わない方が良い理由

2021年8月15日
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鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

興奮

ポン・ジュノ長編デビュー作。
とあるマンションで起きる犬の連続失踪事件。
教授を目指すユンジュとその妻、マンションの管理事務所で働くヒョンナム、マンションの警備員、犬が唯一の家族であるお婆さん。
様々な人間のそれぞれのドラマが、一つのマンションで繰り広げられる。

可愛らしいパッケージにワンコ映画、そんなものに釣られてはいけません。
そもそも犬好きにはあまり勧められない。
最悪の(褒めてます)ワンちゃんダークコメディ。
この頃からパラサイトっぽさもあって、韓国の階層社会をマンションで表すのは流石。
上から下へ、下から上へ。
左から右へ、右から左へ。
ユンジュの赤い服とヒョンナムの黄色いパーカーの追いかけっこだったり、韓国映画らしからぬお洒落な音楽だったり、何かと芸術的。
鼻血や黄色のレインコート、脱げる靴や後ろ姿など、繰り返される事物は何かのメタファーのようだけど、何か分からず…
結局ストーリーも、説明しろと言われると難しい。
だけど面白い。理由は分からないけど面白い。

犬を誘拐して殺した奴が犬探しとかいう皮肉。
1番笑ったのが、「屋上の切干大根食べておくれ」。
まあ、観てみてください。
エンドロールもなかなか好き。
途中で強奪した、車のミラーをまだ持ってて、普通に鏡として使っているし、前述のお洒落な音楽が流れてたかと思ったら、急にロックっぽい音楽になるし。

本作を語る上で避けて通れないのが、ペ・ドゥナの可愛さ。
フード被ってるとことか、犬引き渡す時の満面の笑みとか。
これはガチ恋勢が現れるのも無理はない。可愛すぎる。
多分、ペ・ドゥナの可愛さもこの作品の重要な要素の一つなんでしょうな。
あり得なさそうであり得そうなそんなお話。
決して癒されるとか心温まる話ではないけど、定期的に観たい映画だった。

唐揚げ