劇場公開日 2003年1月18日

「小さな恋のメロディとナチの迫害」僕のスウィング kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0小さな恋のメロディとナチの迫害

2018年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 冒頭のギター演奏でノックアウト。ジャンゴ・ラインハルトを彷彿させるミラルダのテクニックに見とれてしまった。ジプシー音楽も様々あるが、民謡とジャズを融合した独特のマヌーシュ・スウィングはジャズファンにはたまらない音楽だ。圧巻はトレーラーハウスの中で20名くらいのミュージシャン達が演奏するシーンと、ラスト近くの女性コーラスを含んだイスラム風音楽との融合作品だろう。ストーリーとは直接関係がないように演奏されているのが好感度大。

 ストーリー的には小さな恋のメロディのような少年時代のひと夏の思い出であるかのような流れではあるが、要所にナチの迫害や民族差別の風刺が込められている。少年がロマ(ジプシー)地区に足を踏み入れて、偏見のない純粋な想いでギターレッスンや淡い恋心を抱くところには心うたれます。説明的なところが全くないのでアート風な作りにも思えるが、想像力をかきたてられる分観客にはそれぞれの想いをプレゼントしてくれる。ラストシーンでのスウィングがミラルダの靴を履いていたのも感動的だ。

kossy