若草物語(1949)

劇場公開日:

解説

アメリカの家庭小説の名作といわれるルイザ・メイ・オルコットの「リツル・ウイメン」の映画化で、「哀愁」「心の旅路」のマーヴィン・ルロイが、テクニカラー色彩映画として製作監督した1949年作品。脚本は、1934年にRKOラジオで映画化された時のサラ・Y・メイソン、ヴィクター・ヒアマンのチームに、アンドルウ・ソルトが協力して執筆、撮影は「女の顔」のロバート・ブランク、「悪漢バスコム」のチャールズ・エドガー・シェーンバウム、音楽はアドルフ・ドイッチェの作曲である。主演は「秘めたる心」のジューン・アリソン、「下町天国」のピーター・ローフォード、「悪漢バスコム」のマーガレット・オブライエン、「暴力行為」のジャネット・リー及びメアリー・アスター、新人エリザベス・テイラー、「ラ・トスカ」のロッサー・ブラッツイでルシル・ワトソン、C・オーブリー・スミス、ハリー・ダヴェンポート等が助演する。

1949年製作/122分/アメリカ
原題:Little Woman
配給:MGM=セントラル
劇場公開日:1949年12月

ストーリー

アメリカ東北部の町コンコードのマーチ家には、メグ、ジョー、エミイ、ベスの4人の姉妹があった。父は南北戦争に出征していて留守宅は貧しかったが、やさしい母と平和に暮らしている。マーチ家の隣は大金持ちのロウレンス家だが、姉妹たちにとっては、こわそうなおじいさんの独り暮らしゆえ、交際はしなかった。クリスマスの朝、ジョーは門口で2人の青年に会った。先日から来ていたロウレンス老の孫ロウリイと、その友人ブルックだった。姉妹の中でも一番快活なジョーが、ある朝ロウリイの部屋の窓に雪だまを投げ彼と友達になったことから、マーチ家とロウレンス家の親交は急速に深まった。1日ロウレンス家で開かれたパーティーに姉妹は招かれ、楽しい時を過ごしたが、ジョーがロウリイと踊ったことが来客の嫉妬の的になり、清い友情を信じていたジョーの心は傷つけられた。やさしいベスは気むずかしやのロウレンス老と仲好しになり、好きなピアノを弾くことができるようになった。出征中の父が負傷し、ワシントンで入院したので、母が看護にゆかねばならなくなった時、ジョーは旅費調達のため自分の金髪を惜しげもなく切って金に変えた。母の留守中、ベスは貧しい近所の娘の病気を看護したことから猩紅熱に冒され、命はとり止めたものの彼女の小さな体は胸を蝕まれていた。ベスの病中ロウレンス家との交際はますます深まり、長女メグはブルックと結婚することになった。結婚式の日、ジョーはロウリイに愛を打ちあけられたが承諾することはできなかった。心に空虚を抱いてジョーは、かねての希望の作家としての勉強のためニューヨークへゆき、カーク夫人の家に家庭教師となった。夫人の家でドイツ人の音楽教授バールと知り合い、共に学び共に遊ぶうち、2人の友情は清い愛へと成長していた。叔母の家に引きとられていたエミイは欧州へ旅立つことになった。欧州にはロウリイもいると聞いて、ジョーは何となしにさびしい気持ちになった。ベスが病篤くなったと知らせてきたが春を待たずに他界した。ジョーは楽しかった4人姉妹の生活をなつかしみ「私のベス」と題する小説を書き、ニューヨークのバールの元へ送った。春が来て去り、初夏の候となった1日、マーチ家には欧州で結婚して帰って来たエミイとロウリイを中心にメグの一家、それに退院して来たパパも集まっていた。その夜バール教授はマーチ家を訪れて「私のベス」の成功を告げた。バールの姿を見て、ジョーの心は愛に満たされ、今までの索漠とした孤独感はすっかり消え去っていた。

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受賞歴

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映画レビュー

4.094年版のTV放映が切っ掛けで感動の再鑑賞に…

2022年4月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

94年版「若草物語」がTV放映されたのを機に、
その前にと、
このマーヴィン・ルロイ版を先に再鑑賞。

ルロイ監督作品としては
「哀愁」「心の旅路」「クォ・ヴァディス」
が印象深いが、
別の同名作品を観る機会がなかったら
この作品の再鑑賞はなかったかも知れない。

この作品、善人だけの登場人物による
お互いへの思いやりに包まれた設定だが、
紆余曲折の後に幸福が訪れる展開に
心地良い感動を覚える、
前回よりも印象深い再鑑賞となった。

その“善人しか登場しない”という意味では
46年に日本公開され、
キネマ旬報ベストテン1位に選出された
「我が道を往く」を思い出す。
私としては「我が道…」の都合の良すぎる展開
に抵抗感があったのだが、
ほぼ同じ要素のこちらの作品の方が
スンナリと感動出来たのは、
優しさを自然に醸し出す女性のムードと
原作の力だったろうか。

年齢を重ねて如実に涙もろくなっているが、
この作品でも、あたかも「戦争と平和」の
ピエールのナターシャへの告白を思い出す
ようなラストシーン等々、
こちらも幸福感に充たされ
随分と目頭を熱くした。

男兄弟だけで育った身としては、
この作品でも姉妹の、そして母娘の、
男性同士では真似出来ない
特別な絆を見せつけられてしまった。

尚、この作品が日本公開された時の
姉妹役女優の実年齢は、
 長女22才
 次女32才
 三女17才
 四女12才
だ。なんと
次女役のジューン・アリソンの方が
長女役のジャネット・リーよりも
実年齢は10才も年上だ。
ハリウッド映画では古い作品ほど、
主要なキャストで
30代の女優が10代の女性を演じるケースが
多いイメージだが、
この作品でも次女が主人公であることから、
ジューン・アリソンの演技力を重視しての
配役だったのだろうが、
何らの不自然さも感じなかった。

次は、94年版「若草物事」だ。
また、同じ感動、あるいは別の感動を
与えてくれるだろうか。

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共感した! 2件)
KENZO一級建築士事務所

4.0あったかいドラマ

2021年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主人公を中心とした4人姉妹のそれぞれの人生は興味津々。落としどころのエンディングではあったが、あったまる映画だった。
1949年製作で日本公開年は調べていないが、ベッドでケーキを食べてそのまま眠りにつくなんて、当時の日本人なら仰天の夢のようなシーンだったはずだ。食をうらやむ時代でなく、虫歯を意識する感覚の時代で良かった。

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Bluetom2020

4.0One for me

2020年6月7日
iPhoneアプリから投稿

オープニングタイトルの刺繍からその世界に誘われる。セットの中で行われるお芝居は、その時代を感じさせるが、舞台劇を観ているようでもあり、現代においては演出として効果を持つ。生活が苦しいことを示す薄汚れた感じや、とはいえ寂れた感はなく、ひとつひとつの調度品や服装は、愛情深い家族に大事にされているに違いなく、それぞれのカットが多幸感溢れる絵画のように映る。
ストーリー全体のバランスからするとジョーが旅立った後の話にもう少し尺を与えても良さそうであるが、前半の四者四様の描きこみ方あって、家族の有り様が変化した後半における愛おしさがひとしお。同じ4姉妹の海街diaryもそうであったが、いつまでも続くわけではない家族の貴重な時間をおさめる。
家族とコミュニティの強さは古き良きアメリカで、現在では隔世の感はあり。しかし、古い映画を選んでいるのだから、それに浸るのも良い。その古い舞台設定ながら女性活躍を志向する主人公ジョーの姿は、我々の世代を育てた、上の世代の女性の心を動かしたに相違ないなどと思っていると、タイムマシンの載せられたような気持ちにもさせてくれる。
グレタガーウィックがどう取り組むか、期待が高まる。メリルストリープがマーチ叔母さんとは、想像するだに楽しみ。

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共感した! 2件)
Kj

4.5みんな素敵

2020年5月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

楽しい

萌える

4姉妹、家族、親類やご近所、愛する人、みんながそれぞれ支えあい助けあいながら力強く生きていく姿に感動します。
個性的な4姉妹それぞれを演じた女優陣がみんな素敵(特にベスが可愛い)。
とてもいい映画です。

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共感した! 5件)
光陽
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