マザー、サン

劇場公開日:

解説

母と息子、ただ二人の登場人物とシンプルな物語を通して、絵画的な構図の中に普遍的な「愛」を描いた一編。19世紀ドイツロマン主義を代表する画家、カスパー・ダヴィッド・フリードリヒの「海辺の修道士」をモチーフに、「精神の声」のアレクサンドル・ソクーロフが、精密な構図のうちに繊細なハーフトーンの映像を実現。脚本のユーリイ・アラボフ、編集のレーダ・セミョーノワはともに処女作「孤独な声」以来ソクーロフ作品には欠かせないスタッフである。撮影は「精神の声」にも参加したアレクセイ・ヒョードロフが、ビデオ作品「オリエンタル・エレジー」に続いて担当。出演は、母にガドラン・ゲイヤー、息子に「日陽はしづかに発酵し…」のアレクセイ・アナニシノフ。モスクワ国際映画祭でタルコフスキー賞、審査員特別賞、撮影賞、ロシア批評家賞を受賞したほか、ベルリン国際映画祭のパノラマ部門にも正式出品され大きな反響を呼んだ。

1997年製作/73分/ドイツ・ロシア合作
原題:Mutter und Sohn
配給:パンドラ
劇場公開日:1997年9月6日

ストーリー

人里離れた海辺の森の中に住む年老いた母は、深く病み、息子に見守られながら間もなく訪れる死を待っている。自分の生涯を振り返り、かぼそい声で語る母。そのひからびた白い手を、息子の柔らかな手が包む。つましい二人の暮らし。行く夏を惜しむような陽射しの中を、抱き合いながら散歩する母と息子。二人の間を過ぎてゆく海からの風。大きな樹の幹に寄り添いながら、息子が読む遠い昔の母の手紙。窓の外に咲く小さな白い花。丘の上を蛇行する道。さいはての草原を煙をなびかせながら行く列車。蒼い海に漂う白い帆船。母は死に、しかもなお木々は変わることなく息づいていた。

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