マーフィの戦い

劇場公開日:

解説

男の燃えたぎる執念を描いた戦争アクション。製作はマイケル・ディーリー、監督は、「ブリット」のピーター・イェーツ、脚本はスティーリング・シリファント、撮影はダグラス・スローカム、音楽はジョン・バリーが各々担当。出演は「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥール、シアン・フィリップス、フィリップ・ノワレ、ホルスト・ヤンソンなど。

1971年製作/イギリス
原題:Murphy's War
配給:大映第一フィルム
劇場公開日:1972年1月22日

ストーリー

第二次大戦も終り頃、ナチス潜水艦の猛攻にあって、ただ一人生き残ったマーフィ(P・オトゥール)は、運よく近くの島民に助けられ、島の伝導病院に働く女医ヘイドン(S・フィリップス)の手厚い看護を受けた。マーフィの傷もいえたころ、海岸に彼の上官だったエリス中尉が瀕死体でうちあげられた。エリス中尉はマーフィに不時着した自分の飛行機を修理するよう命じた。命を受けたマーフィが、島で知りあった石油会社の管理人フランス人のルイ(P・ノワレ)と飛行機を修理して戻ってくると、ナチス潜水艦ラウフ艦長(H・ヤンソン)以下乗組員によってエリス中尉が射殺されていた。マーフィは激しい憤りを覚え、ナチス潜水艦撃沈を決意した。彼は修理した飛行機にガソリンを積み込みはじめての操縦にかかわらず、うまく飛びたった。大河上流の岸辺にかくれていた潜水艦を発見したマーフィは、あびせてくる機銃掃射をかわして、爆弾を投下、見事命中と意気ようようと引きあげてきたのも束の間、ちゃちな爆弾などにびくともしない潜水艦によって島は手ひどい報復を受けた。彼は今度はルイのクレーン船で直接潜水艦に体当りする戦法を思いついた。しかし、そのころラジオは、ドイツの降伏による戦争終結を伝えていた。だが復讐の鬼と化したマーフィは猛然と敵艦体当りを敢行した。しかし、敵艦は激突寸前、潜水してかわした。唇をかむマーフィはしかし、水面に妙なアワのたつのを発見した。潜水艦が海底の泥につっこみ動なくなっているのだ。その時マーフィは敵艦のはずれた魚雷が岸にうちあげられているのを見つけだした。これで敵艦を爆破するのだというマーフィのあまりの執念にあきれはてたルイは船をおりていってしまった。マーフィは一人でクレーンを操作して、魚雷を投下、見事豪沈させた。がその衝撃でマーフィの乗ったクレーン船は真っ二つに裂け、クレーンにはさまったマーフィーは身動きできず、海の底深く沈んでいった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0劇場公開時のポスターの「戦争巨編」につられて観たものの、私念の私闘に何だかなぁに

2023年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館、TV地上波

小学生当時、連続的に洋画鑑賞していた頃にロードショー劇場の大型スクリーンで鑑賞した作品。

そのように、当時の大型戦争物の公開も比較的多く、その醍醐味を毎回楽しみにしていた中での事だったのと、ポスターの宣伝文句に釣られて「他作品と同様に期待値高めて行った」事で、正直、当時としてはガッカリさせられた一本に記憶された。

作品内容は明らかに、「戦時下に於ける互いの行為に対しての、私念からくる私闘(逆恨み的)」に過ぎず、しかも「国際条約違反=降伏済みの戦意のない相手への殺戮行為。」でしか無いのである。
心情は理解できたとしても、賛成(支持)しかねる行為である事には変わりないからであり、非常に後味が悪い。
故に、“反戦映画”として優れているのだ、という声が聞こえそうだが、両者自滅のような結末には誰も救われず、そこには何らの満足もカタルシスも存在していない。

たった一人の“狂気に取り憑かれ”自分の中だけは戦争を終わらせられなかった男の顛末を見せつけられる事となった。

こうした作品内容により、現在も何処かに所有してある公開時のポスターのビジュアルを見たらわかるが、内容的に配給側も明らかに“ウリもの”に困り、取り扱いを考えあぐねた結果、「戦争アクション」路線としてその“キャッチコピー”や“ポスターデザイン”に決定してしまった事にまた問題がある。

アクション系の監督、007シリーズの音楽家など、アクション路線の一流スタッフが結集のように、明らかに煽っている。

この同じ手口がそれから10年ほど経ってから、奇遇にも全く同じロードショー公開劇場にて再現される。
初公開時の『ブレードランナー』のポスターのキャッチコピーには「レプリカント軍団 人類に宣戦布告」となっていた事。
それ、違うだろう….、って。

こちらも、その当時あの内容で、宣伝する際の取り扱い方(カテゴリーというか)に苦慮した結果だということは理解できるが、罪深い。
初動で客は呼べるだろうが、適正な評価を得る(鑑賞後)のには、「騙された感」から、ムシロ逆効果という結果になってしまう。

スタッフ情報にも誤認(作為的?)があり、音楽はジョン・バリーでは無い。
同氏はテーマ曲のみの提供であって、全編の音楽担当はケン・ソーン氏である。
後年入手した氏の作品集で、同じく氏の担当した『四人はアイドル HELP!』とカップリングのサントラCDで聴く事ができる。

ピーター・オトゥール氏の鬼気迫る熱演や、共演の後年『ニュー・シネマ・パラダイス』で我が国でも知名度上昇したフィリップ・ノワレ氏、同時期の戦争物『マッケンジー脱出作戦』にも出演していたUボート艦長役ホルスト・ヤンセン氏等、少数の出演者ながら個性的な俳優陣と、職人監督の手腕により、限定空間舞台の低予算作品には終わらせない、後年に成る程印象深く存在感を示している事が、ハリウッド映画とは一味違う“イギリス映画”の真骨頂といったとことだろう。

だが当然といえば当然だが、上記のような”気が滅入る”ような内容なので、我が国でヒットもせず、知名度も全くと言って無かったのと同様に、海外でも一律に評価も低く(厳しく)、興業的にも失敗作と言って良い作品であった。
そもそも、本来の原作小説の結末とは「全く異なって」おり、原作ではUボート乗組員の殆どは生き残ることが出来て、最後はマーフィとドイツ潜水艦艦長が流れ着いた海岸で互いに疲れ果てて倒れ込むまで殴り合って終わる、というオチになっていて、映画版のように極端に悲惨さを強調した内容ではなく、寧ろ純粋に”戦争の虚しさを描いた反戦作品”的であるように感じられる。

我が国では、宮崎監督作品の“元ネタ”的に取り上げられた事などが契機となった辺りから、知名度が急速に上昇した事によって巷に知られるようになったという事は否めないだろう。
それ以前にには殆ど忘れられて、と言うか元々知られてさえもいない、映画好きの一部にだけで記憶されていた作品に過ぎず、初TV放映時に特に話題になった訳でもなかったし、レンタル・ビデオ時代にも人気作品には程遠かったろう。
正直、DVD発売された時には驚いた位で。

脚本が、結構好きな作品が多いスターリング・シリファント氏であるということもありアジの有る、そして色々な意味で、個人的には思い出深い作品である事には違いないと思う。
(ただ、氏の脚本作品には結構、時々外れみたいな感じするのも....)

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アンディ・ロビンソン

3.5反戦映画として評価されていたと記憶する。

2023年10月12日
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マサシ

4.0洋画を好きになった作品

2021年8月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波
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マーチン
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