劇場公開日 1974年3月9日

「ライアン・オニールを偲んで」ペーパー・ムーン 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ライアン・オニールを偲んで

2023年12月10日
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鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

知的

ライアン・オニール
12月8日(日本時間では9日)82歳で他界
娘は俳優のテイタム・オニール
息子はテイタムとは腹違いの弟でエンゼルス戦の実況でお馴染みのスポーツキャスターのパトリック・オニール

『がんばれ!ベアーズ』のテイタム・オニール関連で鑑賞したのはレンタルVHS時代
それ以来久々2度目の鑑賞

コメディー
ロードムービー
舞台は1935年アメリカ中西部

なぜかカラー映画全盛の73年に白黒映画
大恐慌時代の雰囲気を出したかっただろうか
Wikiだったがオニール親子が金髪で青目という理由は全くの意味不明

あらすじ
モーゼ・プレイが交際していたバーの女が別の交際相手が運転する車に同乗し交通事故で亡くなった
亡くなった女には9歳の娘アディ・ロギンス
身寄りはミズーリ州に住んでいる母親の姉だけ
モーゼは弔問していた女たちに押しつけられる形でアディを母親の姉に届けることに
モーゼはアディの母親が亡くなった原因の男の兄に裁判沙汰をちらつかせ200ドルをせしめた
しかしそのカネは自分のモノだとモーゼを責め立てるアディ
殆ど使い果たしたモーゼはアディを伯母の家に送り届ける途中で詐欺まがいの聖書販売で少しずつ借りを返すことに

この作品でテータムはアカデミー賞助演女優賞受賞
当時最年少10歳での受賞は今も破られていない記録
『がんばれ!ベアーズ』までは順風満帆だったテイタムだったがその後は役に恵まれず伸び悩む
薬物中毒にマイケル・ジャクソンとの交際にジョン・マッケンローとの結婚と3人の子供の出産
赤裸々な自伝発表
その本は現役時代審判に対する激しい抗議などで悪童と呼ばれたマッケンローでさえドン引きするほどの内容だったらしい
波乱万丈映画のようなテータムのしくじり人生
どっこい生きてる60歳

演技経験が乏しいテータムが主役を務めた父親を食った形
殆ど終始むっつりと膨れて不満顔のテータムがいい味を出している
リボンをつけたときの表情
写真に写った母のポーズを真似したあと香水をつけてウキウキになったものの翌日モーゼには気に食わなかったようでむっつりのアディがおかしかった

アディはようじょながら狡賢く策略家で大人をハメることに関してはモーゼより一枚も二枚も上
それがまた面白い

トリクシーがぐずるアディを説得するため土手を登る際に滑ってこけそうになり思わず「son of a bitch!」と言うところ面白い
「son of a bitch」とか「Shit」とかいちいち訳さんでいい

ラストも最高
「まだ200ドル貸しよ」
ソフト帽を地面に叩きつけるモーゼ
サイドブレーキの不具合か勝手に走り出すトラック
急いで乗り込むオニール親子
トラックが道を進みどんどん小さくなっていく
小粋なエンディングテーマに短めのエンドロール
名作です

ちなみに劇中でアディ演じるテータム・オニールがちょくちょく煙草を吸うシーンがあるがもちろん偽物である
プライベートでは吸ってたかもしれないが
しかしトラックの無免許運転は明らかに違法ではないか
でもそこは自由な国アメリカ
古き良きアメリカ
今はトランスジェンダーやイスラエルなどで自由も屁ったくれもないが

配役
聖書を騙して売りつける詐欺師のモーゼ・プレイにライアン・オニール
モーゼ・プレイの亡くなった恋人の娘のアディ・ロギンスにテータム・オニール
旅の途中でモーゼとアディの車に同乗するダンサーのトリクシー・デライトにマデリーン・カーン
トリクシーのマネージャーを務める眼鏡をかけた黒人少女のイモジンにP・J・ジョンソン

野川新栄