劇場公開日 1998年3月28日

「人の人生の大半はどこで生まれたかで決まる」ブレイブ redirさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人の人生の大半はどこで生まれたかで決まる

2022年1月11日
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鑑賞方法:VOD

冒頭の音楽が最高で音楽はずっと最高だった。途中ででかい肉にかぶりつくイギーポップもよかった。これ、テレビがある時代のアメリカか、というような、おそらくメキシコに近い居留地なのか。
全編、全ての大道具小道具キャラクターみんな最高で、ジョニーが好きなものジョニーのツイストをかき集めたのだな。
デニスホッパーでもないし、ショーンペンでもない、ジョニーが作った映画だからわかりやすく。お涙頂戴され、前半は、深いかー?!と期待しながらとにかく全ての創造物が美しくその世界に酔う。後半、この、貧しくも自由な解放区である集落が再開発でブルドーザーに踏み潰されるとわかってからは彼は家族のためではなくこの愛すべきネイバーフッドのためにも逃げずに勇敢であろうとするのだ。
彼の父親はすでに勇敢であり、彼の息子は勇敢であろうとする。難解なところはなくシンプルに胸がいたい。彼が巻き込まれていく荒手のビジネスより、何より、川に水をくみに行く居留地の暮らしが重く胸が痛く、また、これは現実かと錯乱する。
このような場所で生きとし生けるものが勇敢であるにはそうするしかなかったのかもしれない。美しいジョニー、彼の家族、父親みな美しく映画のファンタジーと貧困のリアリティその隙間を埋めるものがないのが残念だがそこがジョニーかなと思う。好きな世界感、好きなものをたくさん描いてくれてありがとう。

redir