劇場公開日 1976年7月10日

「日本人の志村けんじも乗っていた!(誰?)」ヒンデンブルグ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5日本人の志村けんじも乗っていた!(誰?)

2019年9月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

 公開当時映画館で鑑賞。とにかく巨大な飛行船の素晴らしさ、雲海を漂う幻想的な雰囲気、帯電して起こるオカルトのような“セントエルモス・ファイアー”という現象、オランダやイギリスの夜景など、魅力的な映像ばかり。当時にタイムスリップできるなら貯金をはたいてでも乗りたい飛行船だった。

 全長245メートル、スタジアムが3つ入るほどの大きさのヒンデンブルグ号。序盤ではニュース映像とともに飛行船の歴史=ツェッペリン伯爵が作った会社の歴史を紹介。尾翼には巨大なハーケンクロイツも描かれ、これを生で見たらナチスの偉大さに酔いしれていたかもしれないほど宣伝効果抜群だ。劇場で見たときには反ナチを皮肉を込めて歌っていたコンサートの意味も全くわからず、当時流行っていたパニックものの一環として観ていたのだと思う。

 アメリカの予言者が「ヒンデンブルグがアメリカ上空で爆発する」と手紙を書いたため、ゲシュタポの警備も厳しくなり、火気を起こすものを身体検査により没収していく。今でいえばテロリストによるハイジャック防止のための措置みたいなもの。史実としての原因は謎のままだが、反ナチのレジスタンスや亡命を願う大佐の陰謀だとか、単なる静電気による発火なのか、色んな可能性を残してうまく脚色されていた。

 終盤には実際の映像をも使うため白黒になるのだが、大人になった今見ると凄くいい出来栄えだ。当時の感想としては、ディザスターの迫力を感じたいだけだったために白黒に納得できなかったのですが、40年も経つととらえ方がえらく違う・・・大人になれよ!高校生だった俺。

kossy