流されて…

劇場公開日:

解説

男と女の愛と性の極限を地中海の孤島を舞台に描く。製作はロマノ・カルダレッリ、監督は日本初登場のイタリアの女流監督リナ・ウェルトミューラーで脚本も彼女自身のオリジナル、撮影はエンニオ・グァルニエリ、音楽はピエロ・ピッチオーニ、編集はフランコ・フラティチェリ。

1974年製作/イタリア
原題:Sweapt Away
配給:東映洋画
劇場公開日:1978年5月27日

ストーリー

地中海の華麗な8月の海を一艘のヨットが走っていた。このヨットに乗っているブルジョア仲間の一人、実業家夫人のラファエラ(M・メラート)はビキニ姿で太陽を浴びながら、召使いのジェナリーノ(G・ジャンニーニ)のシャツの匂いが臭いと文句をいったり、仲間たちと時局問題について、とりとめなくしゃべりまくっていた。そんなある日、彼女はヨットからはなれた洞窟で泳ぎたいと言い出し、ジェナリーノに命じて二人だけでモーター・ボートで沖に向かった。しかし、ボートのモーターが故障し、海上をさまよったあげく無人島にたどりつく。ジェナリーノは、さっそく小屋を作り自給自足の生活を始めるが、こうなるともはやラファエラの召使いではなかった。料理も洗濯も、魚をとることもできないブルジョア育ちのラファエラは、伊勢エビなどをとって料理しているジェナリーノのまえでは、まったくの無力だった。この時とばかりにジェナリーノの屈辱と怨みが一度に爆発し、ラファエラに“ご主人さま”と呼ばせ主従の立場はまったく逆転する。原始社会に帰ったようなこの世界では、男は本来の野性の姿をあらわし、ラファエラも、いつしかジェナリーノのたくましい男の魅力にひきつけられていった。ジェナリーノはラファエラに欲求不満をぶつけ、殴る蹴るの暴力でいためつけ、ついには砂丘で彼女の肉体を奪う。ラファエラはその性の快楽に、いまだかって経験したことのない強烈なものを感じた。彼女は高慢なブルジョア女ではなく“女”そのものとなって征服される喜びにひたっていたのだ。それ以来、野性に帰った男と女の本能におもむくままの愛の生活が始まった。しかしそんなある日、行方不明となった二人を捜し求めるヨットが沖を通りかかり、同時に二人の目の中に飛びこんできた。ラファエラはジェナリーノに、このままの生活を続けるために見すごそうと主張するが、ジェナリーノは二人の愛を確かめ合うためにも一度ヨットにもどり、また島へ帰って暮そうと言って救出を求めるのだった。ヨットに助けられた二人には陰鬱な文明社会が待ち受けていた。ラファエラには実業家の夫との退屈な生活、ジェナリーノには労働者階級の貧しい妻子のいる家庭……。ジェナリーノは、ラファエラの夫から妻をよく守ったと感謝され、大金を贈られる。屈辱的なことだったがその金をすべて投じて指輪を買い、彼女に贈り、島へ脱出するため、港で待つことを伝えるジェナリーノ。だが約束の時間、ラファエラは港には現われず、夫と共に豪華なヘリコプターでミラノへ帰っていった。二人の新しい世界を夢みたジェナリーノは現実にひき戻され、すごすごと妻の後から家路に向かうのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0予想外に深い味わい

2022年2月4日
スマートフォンから投稿

楽しい

興奮

おもしろかった。予想外に。
さすがイタリア映画?ノリは軽いのに味わい深い。

主人公の二人、外見は一応魅力的だけれど、綺麗すぎずカッコよすぎず、内面の不完全さや不安定さをも感じさせる雰囲気が絶妙。人間の弱さと強さ、美しさと醜さが同居している感じ。

男と女なんて、周囲に大勢いるから、誰が好みかという選択肢の悩みが出てくるだけで、もし相手が一人しかいなければ大抵はこうやって愛し合えるんでしょうね。あまりそんな境遇は想像したくないけれど!
人間は潜在的にいろんな可能性を秘めている。いろんな制約のもとでは開花できないだけだ。
そんなことを思った。

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あま・おと

3.5なるほどー

2019年4月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

何とも後味が悲しい感じですが、これが現実なのかなと?

途中、あり得ない立場逆転などがあり、
ある意味 思う通りのストーリー展開ですが、

世の中の縮図を感じました。

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シャネルちゃん
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