「たった一人の軍隊」追想(1975) みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)
たった一人の軍隊
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甘ったるい恋愛映画のような邦題だが家族をナチ親衛隊に殺された男の凄まじいまでの復讐劇を描いている(原題は「古い猟銃」)。
ごく普通の医師が、人殺しのプロ集団であるナチ親衛隊にどう立ち向かって行くのかが、本作の最大のポイント。
古城と言う戦いの舞台を知り尽くしている医師の方が常にこの接近戦を優位に戦えている点が無理なく描写されている。
また戦いの合間にはサイクリングを楽しむ家族三人の在りし日の姿が何度もインサートされ、医師の哀しみがより強く伝わって来ます。
そして医師の憎しみが、火炎放射器から轟音と共に放たれる紅蓮の炎となって、最後の復讐のターゲットとなるナチ親衛隊隊長に、容赦なく襲いかかる。
作者は声高に叫んではいないが、この作品も反戦映画と言えるのではないか。
復讐がいかに無意味なものであるか、最後のフィリップ・ノワレの憔悴しきった表情からもそれが読み取る事が出来ると思います。
もう、何をしても殺された家族は二度と戻って来ないのです。
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