劇場公開日 2020年8月21日

「歴史背景を感じさせる名作。」第三の男 コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0歴史背景を感じさせる名作。

2022年5月23日
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鑑賞方法:VOD

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内容は第二次世界大戦後の各国分割統治下にあるドイツ🇩🇪の中で起こる第三の男について。往年の名作と云われる作品だけに冒頭の20分は引き付けられました。三角関係の絡れから逃れられ無いお互いの姿は、眼に見え無い呪いの様にも映り1945年当時の男女関係の理想とする所が見え隠れして面白かったです。好きな台詞は『新作は第三の男です。』丁度ミッドポイントにもなる作家によるインタビュー場面はハッキリしていてすきです。映画の最初と最後で墓に土をかけるシーンではアンナの死を受け入れる思いが切なく我が強い当時の女性像の一端を見た様な揺り戻しの変化が楽しかった。名場面では下水道を逃げるハリーが広い下水部屋につき其々の穴から声や音がして自分を脅かす当時のドイツが抽象的に表現され迷う姿が国を無くした民族の行末を暗示させる上手い表現でした。ホリーに自分の最後を希望するシーンの名演技は圧巻で、ホリーをこの街に呼び戻した目的が、そうであるかの様に思われ逆光で帰ってくるホリーは人の心を無くしてハリーと一体になった様に感じた。何か失くすと言うことは何か得る事を痛い程感じさせる苦い大人の我儘な作品。

コバヤシマル