劇場公開日 2020年8月21日

「構成が良かったが、音楽のミスマッチ及びキャラクターが平面的だったのが残念。」第三の男 リョウさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5構成が良かったが、音楽のミスマッチ及びキャラクターが平面的だったのが残念。

2020年11月10日
PCから投稿

 小道具や場面展開には見るべきものが多く、大変勉強になった。1949年当時では画期的だったのではないかと思った。また、混沌とした時代に翻弄された人々の哀愁も漂う。
 (別の映画の話題だが、東京物語や浮雲などの戦後映画にも、戦争の傷跡を色濃く感じる。)

 最近見た映画の中では、「道」の次に感情移入出来なかったので、その理由を考えてみた。
①葬式で始まる映画にしては音楽が明るすぎる。コミカルな印象を受けてしまう。棺桶から志村けんが出てくるんじゃないか?と思うくらい明るい。
②キャラクター造形について。
●主人公のホリー
 友達の彼女に求愛するのがやばい。この時点で私の感情移入対象はハリーへ・・・(個人的な体験で、友達に彼女を取られそうになったことがあるので)。
●ハリー
 ただ悪いだけで、まるで良い面が描かれないところが非常に残念。少しでもアンナを心配する描写があれば人間味が出たのに重ね重ね残念。例えば、「ワクチンの横流しで得たお金でアンナの難病を治す」とかいう設定にする方が良いと思った。だから、ハリーがすごく平面的で薄っぺらい。
●アンナ
 仕事でどれだけ成功しているか分からないが、強制送還されそうになってる人間にしては良い生活をしすぎな感じがして、感情移入出来ない。ただし、アンナだけが芯を貫いて、ハリーを思い続ける所がこの物語における一筋の光明とも言える。むしろ、アンナの一気通貫した人間性を際立たせるために、ホリーやハリーが脇役のように配置されているのではないかと思うくらいアンナだけが際立って芯を貫いている。

 一気通貫した人間性は主人公に持ってくるべきだと痛感した。例えば、ハリーとアンナを結婚させて逃がすために犠牲になるようなホリーであれば感情移入できる。

リョウ