劇場公開日 2020年8月21日

「既に観たと思い続けていたが・・・しかし、初めて観たような気がしてきた。」第三の男 はるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5既に観たと思い続けていたが・・・しかし、初めて観たような気がしてきた。

2020年4月23日
PCから投稿

オーソン・ウェルズは影の中で恐ろしいほどセクシーだ。
この映画は彼の存在がすべてかのようだ。光と影。白と黒。先の大戦後のウィーンと言う街はヨーロッパの気質のすべてを物語っていたのだろう。
空前絶後の正義感に充ち溢れたアメリカ人作家の途方の暮れ方は観るものをハラハラさせ気の弱い女子供は映画館を出てしまうかもしれない。難民に近い劇女優は自分を捨てた第三の男を待ち焦がれてすべてを拒否する。そして第三の男の夢見たものは何か?
それを解き明かすカギとなるのはこの街の地下下水道と長く真っすぐに伸びる道。
ハードボイルド映画の新しい手法はヌーベルバーグにかき消されてしまったかのようだ。
でも、そんなことはどうでもいいのだ。モノクロの説得力に魅了され、映画音楽の効果を見せつけられた。否応なしにだ。

はる