劇場公開日 1947年7月

「正に心の旅路でした お話は記憶喪失ですが、私達の人生も考えてみれば忘却という軽い記憶喪失を繰り返しながら生きているとも言えないでしょうか?」心の旅路 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0正に心の旅路でした お話は記憶喪失ですが、私達の人生も考えてみれば忘却という軽い記憶喪失を繰り返しながら生きているとも言えないでしょうか?

2020年11月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

ラストシーンにはやっぱり号泣してしまいました
こらえにこらえ、溜めに溜めた想いが堰を切って吹き出しました
それまでの記憶を呼び戻す為の様々なきっかけが、次々と不発になって、あれも駄目、これも駄目となっていたのが、遂に届いたのです

正に心の旅路でした
お話は記憶喪失ですが、私達の人生も考えてみれば忘却という軽い記憶喪失を繰り返しながら生きているとも言えないでしょうか?

ずっと昔、あんなに愛し合った人がいたのに、いまは別の人と家庭を持って幸せに暮らしていたりするのです
ふと我に帰る瞬間は誰にもあるのでは無いでしょうか?

それが胸の奥の、破裂しようとしている何かをチクチクと突き刺してくるのです

ラストシーンで号泣してしまうのは、本作のメロドラマで感情移入しての号泣でありつつ、自分自身の古い恋愛の記憶と、長い年月の果てに現在の自分が置かれている現状に初めて思い至ったかのような感覚
それが私達を泣かせているのかも知れません

ポーラがあの街に行ったのは、しばらく海外に行く前に死んだ赤ちゃんの墓参りに行きたかったのかも知れません
劇中で彼女が罹ったという流感は時期的にスペイン風邪と思われます
当時パンデミックになり世界中で数千万人が死んだインフルエンザだそうです
まるで現代のコロナと同じです
赤ちゃんか死んでしまったのもむべ無いことだったのです

天国の赤ちゃんが天使になって、二人を引き合わせて元に戻してくれたのかも知れません

あき240