幸福なる種族

劇場公開日:

解説

「逢びき」に先じてノエル・カワードが製作した一九四四年作品で、彼の同名の劇を映画化したもの。監督は「逢びき」「大いなる遺産」のディビッド・リーン、撮影は上記二作の共同製作者ロナルド・ニーム、同じく二作の共同製作者アンソニー・ハヴロック・アランが共同製作を担当し、この三人が脚本を共同執筆した。主演は「誘惑の港」「ヘンリー五世(1945)」のロバート・ニュートン、「逢びき」のセリア・ジョンソンで、「大いなる遺産」「南極のスコット」のジョン・ミルズ、「大いなる遺産」の共同脚色者ケイ・ウォルシュ、「ハムレット(1947)」「逢びき」のスタンリー・ホロウェイ、「ウォタルー街」のアリスン・レゲット、「灰色の男」のエイミー・ヴェネス等が助演している。なおこれはテクニカラー色彩映画で、美術監督はC・E・ノーマン、音楽はミューア・マシーソンが指揮している。

1944年製作/114分/イギリス
原題:This Happy Breed
劇場公開日:1950年1月14日

ストーリー

西部戦線から復員したフランク・ギボンスは新たに職にも就いたので、妻エセルと家族達もろとも、終戦の翌一九一九年、シカモア街十七番の貸住宅に引越して来た。子供達は小さかったが、エセルの姉の独身女シルヴィアとエセルの母フリント夫人が同居して、口論ばかりするので、エセルはその度に仲裁せねばならない。思いがけなく隣家にはフランクの親ボップ・ミッチェルが住んでいた。隣同志の気安さにミッチェル一家とは家族のようにつき合い、年月が流れてギボンスの長女ヴァイ、長男レッジ、次女クイーニー、ミッチェルの長男ビリー等は年ごろになった。ヴァイはレッジの親友サム・レッドビッターと恋仲になり、ビリーはクィニーを愛したが、繁華街でマニキュア・ガールをしているクイニーは虚栄心高く、水兵のビリーには満足しない。レッジはサムの共産主義にかぶれ、ゼネストであばれて怪我をしたこともあったが、サムが姉と結婚するころには、レッジにもフィリスという愛人が出来、サムもレッジも過激思想はいつの間にか、けろりと忘れてしまった。フランクもエセルも安心したが、レッジはフィリスと結婚後いくばくもなく、自動車事故で夫婦もろとも惨死した。その悲しみがようやくいえたころ、クイニーは一片の書置を残して家出した。ビリーは彼女が妻子ある男と恋に落ちてかけ落ちしたことを知っていたが、フランク夫婦にはわざと告げなかった。サムとヴァイの間には双児が生まれた。エセルはクイニーの出奔を深く憤っていたが、いつか怒りはさびしさとなり、彼女の消息が分かればよいと思い暮した。フリント夫人は老衰して亡くなった。シルヴィアはついに結婚することをあきらめ、心霊療法にこり始めた。ある晩将校に昇進したビリーがボギンス家を訪れた。クイーニーの消息を聞かせようというと、フランクもエセルもひざをのり出した。クイーニーはベルギーのブラッセルで男に棄てられ、苦労したあげく、病気となってパリで入院した時、仲よくなった同室の患者と共に南仏の港町で喫茶店をはじめ、そこでビリーは彼女と奇遇したのであった。そしてビリーの妻となったクイーニーは、いま隣家にいると告げた。フランクは飛び出して迎えに行った。いくらかふけて見えるクイーニーの姿を見て、エセルは涙声で喜び迎えるのであった。ヒットラーが無法な戦をはじめ、ロンドン市中も防空ごうが掘られ、家にはガスマスクをそなえねばならぬ様になった時、ビリーはシンガポール基地づめと成って、クイーニーに来る様にと言って来た。生れたばかりの孫フランキーは祖父母があずかることとなり、クイーニーは船出した。今や少人数となったギボンス家にこの家は広すぎた。手ごろなアパートに一室を貸りたギボンス老夫婦は、孫の乗った乳母車をおして、シカモア街十七番の三十年間住ならした家を出て行ったのである。それは一九三九年であった。

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