クラム

劇場公開日:

クラム

解説

アメリカのアンダーグラウンドコミックを代表する漫画家、イラストレーターのロバート・クラムに関するドキュメンタリー。「フリッツ・ザ・キャット」や「ミスター・ナチュラル」といったカウンターカルチャーを象徴するキャラクターを生み出し、ジャニス・ジョプリンのアルバム「チープ・スリル」のジャケットを手がけるなど、1960年代後半のアメリカで一躍脚光を浴びる存在となったロバート・クラム。過激で辛辣、そして時には性への妄執も感じられるコミックを描き続けるクラムにカメラを向け、戦前のブルースへの偏愛や、ともに精神を病んでいる兄チャールズと弟マクソンからの影響、LSDの使用や女性に対する過度な恐怖心と特異な性的嗜好など、異例ずくめの人物像を浮かび上がらせ、そんな彼を生み出した家庭環境や自由の国アメリカのダークサイドを映し出していく。監督は、クラムとともにバンド「チープ・スーツ・セレネーダーズ」で活動し、後に映画「ゴーストワールド」などを手がけるテリー・ツワイゴフ。

1994年製作/120分/PG12/アメリカ
原題:Crumb
配給:コピアポア・フィルム、オープンセサミ、Lesfugitives
劇場公開日:2022年2月18日

その他の公開日:1996年11月30日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

4.0いろいろ考えさせられた。

2022年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

タイトルを見て「何の映画だろ?」と思ったらアメリカのマンガ家ロバート・クラムのドキュメンタリーだった。
ロバート・クラム。
名前と、ちょっとどんな絵かは知ってる。
吾妻ひでおの日記マンガで、何度か名前が出てた気がする。
興味が湧いて観に行った。

なんか古めかしい映像だと思ったら再映なんだね。
カセットデッキとか出てきてるもんな。
最初のうちはクラムの飄々としたキャラクターが映されてたけど、次第に家族も物語りになる。
クラムのお兄さんも、弟さんもやっぱり絵が上手い。
なのに、この境遇の違いはなんなんだろう。
いろいろ考えさせられた。

それにしても表現者ってものは、衝動のままに表現するべきなんだね。

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Syouiti

4.0描く態度に、魅せられる

2022年4月18日
Androidアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 0件)
neo

4.0"Cheap Suit Serenaders"

2022年2月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

知的

"誰もが歩く広告塔だ"と揶揄するロバート・クラム、前の席には有名スポーツチームのロゴが背中一面に入った上着を着ている人など、今劇場にも"歩く広告塔"がチラホラと、自分は微妙にコンバースのスニーカー、でもロゴは内側だから見えないか??

サイケなイメージやジャニス・ジョプリンから言われたことなど、戦前のジャズやブルースを78回転のSPレコードを愛するロバート・クラムと監督であるテリー・ツワイゴフとの関係性に『ゴーストワールド』でブシェミ演じるシーモアを、レコード探しの爺さんのドキュメント『さすらいのレコード・コレクター 10セントの宝物』だったり。

兄や弟、息子に娘まで芸術性の高い家系が羨ましくもあり、全体的に淀んだ雰囲気を纏いながらも陰鬱な暗さを吹き飛ばすような明るさを感じるファンキーな要素。

今の時代なら最高潮に不謹慎で受け入れられない様々な事柄でさえも、本作を観て不快に思う人もいるであろう、ラストはショッキングに、クラム一家の常人には理解し兼ねる変態性からの人間性??

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万年 東一

2.5ドロドロの潜在意識をペンに託す者

2021年12月13日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

難しい

アングラ漫画家ロバート・クラムに密着したドキュメンタリーだが、正直彼の事は全くと言っていいほど知らない。映画化されたキャラクターのフリッツ・ザ・キャットも名前ぐらいしか把握しておらず、このドキュメンタリーも94年製作で、今回の日本公開がリバイバルという事も初めて知ったぐらい。
そんなわけで色々無知状態で観たけど、どんなジャンルでも表現者というのは、どこか突出した素養を持っているという事を改めて知らされた思い。
ジャンルがアングラという事で、日本でいう「ガロ」テイストな漫画を発表してきたクラムの素養は、世俗に対する憎悪と女性への恐怖、そしてその女性への征服欲と性的嗜好だ。見た目は物静かそうな紳士でも、「自分をさらけ出すために漫画を描いている」と公言するように、内面にあるドロドロの潜在意識がペンを走らせる。でもそれって多くの漫画家に共通している事ではなかろうか。
ロバートの潜在意識は人間なら誰しも持っているもの。それを堂々とさらけ出す彼を支持する者もいれば、彼によって暴かれたと錯覚した者は忌み嫌う。カメラはそんな彼を生んだ家族にも向けられるが、兄チャールズや弟マクソンもぶっ飛んでいる。語弊を生みそうだが、殺人をしない『悪魔のいけにえ』のソーヤー一家のようだ。
終盤、ロバートが商業主義にまみれたアメリカに唾をかけるようにフランスに移住すると並行して、ある衝撃的な顛末が明かされる。これはロバートのみならず、クラム一家の物語でもあった。
手塚治虫が『鉄腕アトム』を一時期「最大の愚作」と断罪したように、ロバートも、自身の知名度を上げてくれた功労者フリッツ・ザ・キャットを自らの手で葬ってしまった。製作としてクレジットされたデヴィッド・リンチも含め、表現者とはかくも面倒くさく、かくも自分に正直な人種なのだ。

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regency
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