劇場公開日 1963年10月26日

「感動と言う他ない」奇跡の人(1962) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0感動と言う他ない

2018年9月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

原題はミラクルワーカー
つまりサリバン先生のことを指す
物語は誰もが知る内容だが本作は物凄い密度で単なる筋書きを追うような次元を遥かに超えて心を打つ映像で目を釘付けにして迫ってくる

サリバン先生の生い立ちをフラッシュバックで挿入しながら、なぜそこまでの情熱と愛情をもって厳しく教育できたのかを手際よく説明する構成がみごと
神がかった演技を超えた壮絶なまでのヘレンとのやり取り
それがラストシーンのカタルシスともいえる感動を呼ぶ
生き埋めになった少女はみんなが必死で救いだそうとするはずとのフレーズは心を打つ
障害だけだはない
心を閉ざした人、頑迷な人をそこから救い出すこともおなじことだ
逃げずに向き合って、愛情を持って戦わなくてはならなないのだ

ヘレンの両親は南北戦争の将軍の近縁の気位の高い様子を簡潔に良い演技で表現してラストシーンの感動をさらに盛り上げた

舞台はアラバマ州タスカンビアという小さな町
そこはなんとソウルミュージックの聖地マッスルショールズの直ぐとなり、僅か5キロほどしか離れていないのだ

ヘレン・ケラーはその後この町を離れ1968年に亡くなっているが、その翌年1969年彼女の生地の隣マッスルショールズにフェイムスタジオが生まれ数々のソウルミュージックの名曲がここで作られることになる
何もないこんな僻地でだ
何かの巡り合わせとしか考えられないことだ
これもまた奇跡と言う他ない

あき240