おかえりなさい、リリアン

劇場公開日:

解説

精神病院で60年間を過ごしてきた老女と、出産を控えた女性が同居生活を通して、それぞれの抑圧してきた自己を回復していくまでを描く女性ドラマ。製作はケニス・トロッド、監督は演劇界出身のピーター・ホール、脚本はスティーブン・ポリアコフ、撮影はフィリップ・ボナム・カーター、音楽はスティーブン・エドワーズが担当。出演はペギー・アシュクロフト、ジェラルディン・ジェイムズほか。

1989年製作/イギリス
原題:She's Been Away
配給:シネセゾン
劇場公開日:1990年10月20日

ストーリー

人一倍鋭敏な感覚を持っていた少女時代、厳格な父親に反抗を繰り返し、とっぴな行動をとったため精神病院に入れられ、そこで60年を過ごしてきた女性リリアン・ハックル(ペギー・アシュクロフト)。晩年を迎え、彼女はかつて育った家に住む甥の証券会社社長ヒュー(ジェームズ・フォックス)とその妻ハリエット(ジェラルディン・ジェイムズ)のもとへ引き取られる。すっかり子供に戻ってしまったリリアンの振舞いに、出産を控えてナーバスになっているハリエットはひどく刺激されるが、リリアンの不幸な生いたちを知るうちに理解と同情を深めていく。自分を子供扱いする夫への不満と母となることへの不安に苛まれたハリエットはある朝家出を企て、心配したリリアンもその後を追う。森の中に迷い込んでしまった二人はヒッチハイクをしてようやくホテルに辿り着くが、そうとは知らないヒューは二人が誘拐されたと思って警察に捜査を依頼する。その頃ホテルのバーでは、ハリエットがリリアンに自らの苦しい内心を告白し、二人の女性はそれまで押さえつけてきた自分自身が目覚めていくのを感じるのだった。急に産気づき、病院に収容されたハリエットの姿に、自分の不幸な少女時代を重ね合わせるリリアンのまなざしは既に感情を取り戻し、無事出産を終えたハリエツトの病室に駆けつけたヒューを堅固に拒むのだった。

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