劇場公開日 1993年12月18日

「持って生まれた性格には約束は勝てない」イン・ザ・スープ あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5持って生まれた性格には約束は勝てない

2010年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

楽しい

1992年アメリカ映画。99分。今年41本目の作品。NYを舞台にしたアメリカンインディースムービー。本作の監督・脚本を務めたアレクサンダー・ロックウェルの自伝的要素が強いらしい。

内容は;
1,映画監督になることを夢見る主人公は、毎日がカツカツの生活。
2, そんな折りに自分の脚本を買ってくれ、さらに製作費もだしてやるという男が現われる。
3, それで浮かれる主人公だが、その男との享楽に毎日つきあわされ、製作は一向に現実的に進まない。

「スモーク」や「ブルー・イン・ザ・フェイス」に代表されるようにアメリカにも良質のインディース映画はありますが、本作も同様にNYを舞台にしたこざっぱりとして笑える作品になっています。

ストーリーの展開は奇想天外ですが、自伝的要素という所から実話にあった話なのでしょう。さらにNYという街はわたくしは行ったことあるから言えるのですが、こんな奇妙な話もあの街だったら成立すると思いました。

毎日が貧乏生活で借金取りに負われている主人公は、騙されやすく、さらにお人好し。そんな彼に救いの手をさしのべた男は、きっと本気だったのだと思います。しかし、酒やドラッグに浸っている人というのは、本気と行動がなかなか両立しない(そんな人間知ってます)。

この男は生まれ持っての役者で人を楽しませることが一番の喜び。NYみたいな完成された街で、人を楽しませるには、常に逸脱していなければならない。主人公との約束が勝つか、気性が勝つか。本作ではものの見事に後者が勝ってしまうのです。

そんなハチャメチャな日常を描いただけの作品で、たいした思想もなければ、詩情もいまいち昇華されていない。言ってみれば、本作のデキは中途半端だと思います。でも、観てて楽しい。

本作にでてきた破綻してるけど優しいって人、この街にはたくさんいます。そして、そんな人々をうまく描いていたことが本作の魅力だと思いました。

あんゆ~る