愛の悪魔 フランシス・ベイコンの歪んだ肖像

劇場公開日:

解説

今世紀を代表する画家の一人、フランシス・ベイコンの生涯を、男性の恋人ジョージ・ダイアーとの関係を中心に描く一編。監督・脚本は「リメンバランス」のジョン・メイブリィ。製作はキアラ・メナージュ。製作総指揮はフランシス・アン・ソロモン、ベン・ギブソン、パトリス・ハダド、浅井隆。撮影は「リメンバランス」「ヴィゴ」のジョン・マティエソン。音楽は「スネーク・アイズ」の坂本龍一。美術はアラン・マクドナルド。編集はダニエル・ゴダード。衣裳はアニー・シモンズ。出演は「ハムレット」のデレク・ジャコビ、新鋭ダニエル・クレイグ、「イヴの秘かな憂鬱」のティルダ・スウィントン、「ハワーズ・エンド」のアン・ラムトン、「世にも憂欝なハムレットたち」のエイドリアン・スカーボロー、「ヴイトゲンシュタイン」のカール・ジョンソンほか。98年エジンバラ国際映画祭でマイケル・パウエル賞(最優秀作品賞)、最優秀演技賞を受賞。

1998年製作/90分/イギリス・日本合作
原題:Love Is the Devil Study for a Portrait of Francis Bacon
配給:アップリンク
劇場公開日:1999年3月13日

ストーリー

1971年、パリのグラン・パレでは、大きな喝采を浴びるイギリスの画家、フランシス・ベイコン(デレク・ジャコビ)の大回顧展が準備されていた。またその頃、ベイコンの作品のモデルであり恋人でもある、ジョージ・ダイアー(ダニエル・クレイグ)は、ホテルの部屋で大量のドラッグとアルコールを服用していた。この二人が初めて出会ったのは、それから7年前のことである。ベイコンの家に盗みに入ろうとしたダイアーが、うっかり天井からアトリエに転び落ちてしまった。そのダイアーを一目見たベイコンは、有無を言わさず彼をベッドに誘った。この日から二人は恋人同士として過ごすことになったのだ。ベイコンを取り巻く友人たちは、女主人ミュリエル(ティルダ・スウィントン)が経営する酒場、“コロニー・ルーム”にたむろしては、派手な批評や毒の効いたジョークなどをベイコンにぶつけて楽しんでいた。その常連には、『ヴォーグ』の写真家ジョン・ディーキン(カール・ジョンソン)、美術評論家のダニエル・ファーソン(エイドリアン・スカーボロー)、ディーキンの写真のモデルであるヘンリエッタ(アナベル・ブルックス)、ベイコンの長年の友人イザベル(アン・ラムトン)などがいた。ダイアーはそんなベイコンの世界に何とかなじもうと努力するが、無知な彼は常に皆の嘲笑や皮肉を浴び、次第に精神が追い詰められていく。彼はその苦痛から逃れるために、ドラッグとアルコールに溺れるようになった。ベイコンとの問には徐々に溝が深まっていく。そしてダイアーは、ベイコンの回顧展開幕の前夜、一人ホテルで息絶えるのであった。

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映画レビュー

3.5デフォルメされた表現??

2020年8月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

実験的で挑戦的な映像描写が印象的でもある反面、フランシス・ベーコンの作品が登場する事はなく、彼の生涯を垣間見れる物語を描くより、不気味にも感じられる二人の心理描写をアートな映像で表現する感覚。

時間軸は入り乱れ、描いている年代も分からなくなる、非現実的な世界観、実話を描いているのかすら懐疑的に、ベーコンの自伝的作品としては暴力的なほどに支離滅裂な演出にハマってしまう。

互いが依存し合っているような、ベーコンにとっての彼は必要不可欠にも思えるが、素直な感情を表に出せない性格なのか、ジョージが溺れてしまう世界は正しく"愛の悪魔"から抜け出せなくなる身の破滅であるかのような怖さも。

変態的に捉えてしまうフランシス・ベーコンの絵画、不思議な雰囲気とダークな世界観、映画として彼の人間性を巧く表現出来た一作なのでワ。

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万年 東一
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