でらしね

劇場公開日:

解説

ホームレスの画家と彼を見出し自ら絵のモデルとなる女性画商の濃密な関係を描いた官能ラブ・ストーリー。監督は、「櫻の園」「コンセント」の中原俊。脚本は、「フリック」の小林政広によるオリジナル。俳優業だけでなくプロの画家、映画監督としても活躍する奥田瑛二が、主人公の無頼な芸術家を熱演。「六月の蛇」の黒沢あすかが全裸でのモデルシーンに果敢に挑戦している。タイトルの「でらしね」とは、フランス語で根無し草を意味する。

2002年製作/95分/日本
配給:メディアボックス
劇場公開日:2004年11月27日

ストーリー

水木譲司(奥田瑛二)は、ホームレスの画家である。社会から見捨てられ、妻子に逃げられて路上生活者になったのである。毎日ダンボールの紙片を抱えて歩き回り、何枚かの絵を描いて帰ってくる。粗末な画材で描くものは「タバコの吸い殻」「電信柱」「酒瓶」「道端のゴミ」「ビル群」など、地味な題材ばかりだ。ホームレス仲間のアカちゃん(三谷昇)とキイちゃん(田鍋謙一郎)が、譲司の絵を一枚五百円で売って、三人で路上生活をしている。そんな彼らの前に、ハイヒールにスーツ姿の橘今日子(黒沢あすか)と名乗る女性が現れ、譲司のダンボール絵を毎日一枚だけ買っていく。ある日、譲司に向かって今日子が意外なことを言い出した。「あなたの絵が気に入ったの。お金を差し上げますから大作を書いて欲しい」。今日子は、岡本画廊で働くバイヤーであった。彼女はオーナーの岡本光太郎(益岡徹)から独立して、自分の画廊を出す野望があったのだ。そのために自分で見いだした譲司の才能が必要だった。しかし高慢な女の態度に、譲司はにべもなくその申し出を断った。「俺はそんな気はないね…お帰り下さい」。残念がるアカちゃんとキイちゃんだが、譲司は頑なに拒むばかり。そんな日々の中、酒に溺れる譲司の肉体は、確実に蝕まれていった。譲司の肉体は重い病に冒されていた…。彼は美術大学時代から、その天才的な能力を評価されてきた男だった。しかし、譲司のモデルとなった女性が自殺するという悲劇が起きてから、譲司はまったく絵が描けなくなってしまったのである。就職してサラリーマンになっても、絵を忘れることはできなかった。酒と女に溺れるなか、フラリと入った画廊で河鍋暁斎の「枯木寒鴉図」を見て、譲司は激しいショックを受ける。酒を浴びるほど呑み、フラフラと潜り込んだ工事現場で、そこにあったペンキと筆で、譲司は板切れに描き始めた。再び絵が描けるようになり、今に至っている。譲司が発作に襲われ病院に担ぎ込まれた夜、アカちゃんに呼ばれて駆けつけた今日子は、病院の支払いを済ませると、大作を描くことを譲司に迫る。自分の死期を悟った譲司は今日子が用意した山奥の山荘で、絵を描き始めた。それが譲司に残された最後の選択だった。しかし「自分の絵」はなかなか戻ってこない。自然に向かい合って描こうとしても、自己の矮小さに負けてしまう。酒に逃げる日々が続いたが、譲司はついに自分のテーマを再発見することになる。封印したはずの「女」を描く。泊まり込んでいた今日子の部屋のドアを叩いて譲司は叫ぶ。「君の裸が描きたい」。鬼気迫る譲司の熱意に、今日子はゆっくりと頷く。今日子の裸身をテーマに、譲司は狂ったように描き始めた……。

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