劇場公開日 2004年10月30日

「原作超えの代表的作品!」いま、会いにゆきます KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0原作超えの代表的作品!

2020年10月4日
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鑑賞方法:DVD/BD

竹内結子さん追悼の意味で再鑑賞。

正直なところ、原作は本旨から逸脱した
余分な要素の多過ぎる稚拙な小説
だと個人的には思っているが、
それを上手く改変し高尚なレベルに高めた
映画スタッフに感服している。
(改変の経緯については
原作文庫本の巻末に記載されています)

そもそもタイムスリップ物は
リアリティの欠如した話だから、
それを重視する私には
本来浸りにくい世界だが、
例えば、映画では
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」等や
小説では宮部みゆきの「蒲生邸事件」等は、
理屈を超えて
抵抗なく没入させてくれた作品だ。

この作品の評価として、
敬愛するキネマ旬報では邦画43位と
決して高くないが、私は大好きな作品で、
『そんな顔しないの』『大丈夫よ、私達は』と、
自分の短い人生を知った上で
恋人を諭すひまわり畑での
竹内結子がたまらなく素敵で、
返すがえすも彼女の死が悼まれる。

再鑑賞に当たっては、
タイムスリップとして描かれている事象は
“啓示”と解釈出来ないか、
自分が亡くなるまでの運命の把握は全て
タイムスリップに依るものなのか、
また、
全ての記憶を失ってのタイムスリップ
の本旨への是非は、

などを確認しながら観た。

結果、
運命を知るのは“啓示”だった訳では無く、
タイムスリップで会った彼と息子からの
情報と自分のDIARYから全てを知った
ことの理解で良さそうで、
短いながらも愛する人達との人生を
まっとうするために
ひまわり畑に向かったものと確認。
そして、感動を新たにした。

ただ、
彼女がタイムスリップする際に
自分の全ての過去を忘れているという原作
を映画でも踏襲したが、
事故前の記憶は持ったまま、
つまり20歳までの彼との記憶は持ったまま
タイムスリップして二人に会う設定の方が
良かったのではないかと思っている。
そうでないと、三人一緒の写真を見せられ、
『貴女は私達の妻で母だ』と告げられても、
すぐに一緒に生活を始めるのは?
とか、
彼女がタイムスリップから戻った時の
『あなたにもう一度、恋をしたわ』という、
語りとの符号の意味でも
事故前の記憶があったとした方が自然だった
のでは、と個人的には思っている。
もう一点は、これも
原作に引きずられたのか、
彼女が彼の事務員に会う蛇足的なシーンだ。

全体的に優れた脚本化だったと思うが、
どうせ原作を大きく改変しているのだから
原作者に遠慮なくこれらの手直しもあったら
よりリアリティ感が増し
更に感動的だったのではと思うと共に、
それが専門家に高い評価を得られない
原因のひとつでもあったのかなと
想像もするのだが
どうだろうか。

しかしながら、
タイムスリップ物の中では、
この映画は何とも心地よい余韻の感動作で、
原作を超えた映画の中でも
代表的な作品ではないかと思う。

KENZO一級建築士事務所