劇場公開日 1978年1月21日

「血で血を洗う狂った奴ら」柳生一族の陰謀 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0血で血を洗う狂った奴ら

2022年3月8日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

興奮

78年の作品
日中平和条約が調印された78年
キャンディーズが解散しサザンがデビューした78年
スワローズが初優勝しライオンズが福岡から所沢に本拠地移転した78年
日本で『スターウォーズ』や『サタデーナイトフィーバー』が公開され邦画では『鬼畜』が上映された78年

2度目の鑑賞

監督と脚本は『仁義なき戦い』『復活の日』『魔界転生 』『蒲田行進曲 』『里見八犬伝』『いつかギラギラする日』『忠臣蔵外伝四谷怪談』『バトルロワイヤル』の深作欣二
脚本は他に『白蛇抄』の野上龍雄と『花いちもんめ』の松田寛夫

史実を元にしているが大胆すぎるアレンジ
秀忠が忠長より先に他界してるし家光が十兵衛に殺されている

ネットで調べたが忠長は酷い言われようでまるでキチ○イの所業
ここまで揃うと逆に信じ難いし嘘臭い
忠長が映画に登場するのは今作が今のところ最後だが最初に演じたのは目玉の尾上松之助となると尚更
勝った者が歴史を作るらしいが正しい歴史認識というのも随分と儚いものだ

徳川将軍二代目秀忠の急死によって勃発した兄家光側と弟忠長側の醜い跡目争いを描いた傑作
その後テレビドラマや演劇で何度もリメイクされた名作時代劇
萬屋錦之介と千葉真一のダブル主演
オープニングクレジットでエンドロール無し

家光側
徳川家光に松方弘樹
柳生但馬守宗矩に萬屋錦之介
松平伊豆守信綱に高橋悦史
春日局に中原早苗

忠長側
駿河大納言忠長に西郷輝彦
家臣・別木庄左衛門に夏八木勲
家臣・ 久能美作守重吉に汐路章
踊り子・出雲の阿国に大原麗子
阿国に片想いの浪人・名護屋山三郎に原田芳雄
土井大炊頭利勝に芦田伸介

柳生但馬守宗矩の子
柳生十兵衛三厳に千葉真一
柳生茜に志穂美悦子
柳生又十郎宗冬に工藤堅太郎
柳生左門友矩に矢吹次朗

根来衆
根来左源太に室田日出男
ハヤテに真田広之
マンに浅野真弓
フチカリに福本清三

跡目争いの混乱に乗じて王政復古を目指す公家
烏丸少将文麿に成田三樹夫
九条関白道房に金子信雄
三条大納言実条に梅津栄

家光暗殺の浪人たちの指揮を取る天野刑部に中谷一郎
片禿に小林稔侍

十兵衛に片目の深傷を負わせる小笠原玄信斎に丹波哲郎
家光秀忠の母・崇源院於江与に山田五十鈴
尾張大納言義直に三船敏郎

作品冒頭秀忠の葬儀
いきなり豪華な顔ぶれが並ぶ
なぜか顔に大きな痣の松方弘樹
超大物女優山田五十鈴
イケメン西郷輝彦
黒沢映画でお馴染み世界の三船敏郎
渋い名優芦田伸介にあと誰?誰?
性格俳優高橋悦史
深作欣二の妻で謎の威圧感中原早苗
公家姿の梅津栄と成田三樹夫
嵐の前触れと言われずともワクワクと期待せずにいられないメンバーである
これで面白くないわけがない

なぜか俳優以外のおじさん数名がカメオ出演している
角川春樹と水野晴郎と佐藤純彌監督だ

家光の生首がもっとリアルだったら良かったが78年の日本映画では無理な話か
家光を失い狂った宗矩を演じた萬屋錦之介は歌舞伎出身ならではの迫力で『十一人の侍』の大犮柳太朗以上の芝居だった

公家を演じさせたら菅貫太郎と双璧の成田三樹夫の芝居を久々に堪能できて満足

野川新栄