劇場公開日 1964年1月15日

「姉が女に変わる時」乱れる arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0姉が女に変わる時

2019年7月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

結婚したばかりの夫は戦死し婚家に残された嫁というのは、当時かなりいたんじゃないかと推察する。
実家に戻ったひともいただろうし、礼子さんのようにそのまま婚家に残ったひともいただろうし。
婚家を離れるか?止まるか?
その時、大きな判断材料になるのは、子どもの有無だったんじゃないかなあと思う。
礼子さんは結婚して半年で夫は出征し、こどもはいなかったけれど、夫の戦死の公報、空襲、店の再開。
毎日毎日必死に働いてきて気付いたら、18年の月日が流れていたということだったんじゃなかろうか?
礼子さんは幸司の7歳の時から成長を見守ってきて、
幸司から想いを伝えられるまで、彼を男としてみたことはなかったんだと思う。
年齢がもっと近ければ、もっと早い段階で意識しただろうけど(夫亡き後、夫の兄弟と結婚した女性の話もよく聞く話)。
幸司に想いを告げられて、初めて幸司をひとりの男として見た。
だからこその礼子さんの苦悩であり、
彼女の心が乱れたのだ。
そして、自宅を離れた時に、もう一段階、礼子さんに心境の変化があったのだと思う。
若さゆえに真っ直ぐに想いをぶつけてくる幸司を演じた加山雄三は適役だし、しっかりしたお嫁さんだったはずの礼子さんの心の変化、乱れを表現した高峰秀子は流石。
スーパーマーケットの進出で地方の商店街が廃れていくのも、この時代が始まりだったんだなあと興味深い。
それにしても『乱れる』というタイトルの秀逸さよ!

arakazu