見たい度推移(赤線は公開日)


北野武の監督第7作は、自ら主演も兼ねた3度目の作品。そのためか「その男、凶暴につき」や「ソナチネ」を彷彿とさせるが、そこに留まらずこれまでの全作品の集大成であると同時に、新たな挑戦も感じさせる意欲作となった。子供を亡くしたショックで言葉を失った妻と、静かに暮らしている元刑事、西。彼は多くの同僚を傷つけ死なせてしまった数年前の忌わしい事件に責任を感じている。そして、車椅子の生活を余儀なくされ妻にも去られた友人、堀部や殉職した部下の遺族らにひそかな仕送りを続けていた。ヤクザからの借金がかさみ、西は次第に追い詰められていくが……。生と死が織り成す陰影に富んだ表現、寡黙な夫婦像から伝わる豊かなニュアンスなど、北野ならではの演出はますます冴えている。監督自身が描いた絵画の度重なる挿入も鮮やかな効果を発揮。じわじわと様々なイメージが増殖していく様が、単なる夫婦愛のドラマを凌駕して圧巻である。




