劇場公開日 1959年11月3日

「素晴らしい主題だが何かと古い」野火(1959) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0素晴らしい主題だが何かと古い

2016年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

知的

難しい

総合75点 ( ストーリー:90点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:60点|音楽:65点 )

 太平洋の島々での日本兵の戦死原因の大半は、戦闘で撃たれたり爆撃されたりしたのではなく飢餓と病気だという。補給線を軽視して無理な戦闘計画を立案した結果、戦う前から負けは決まっていたようなものだった。
 そして戦線に駆り出された兵士は、その容赦ない残酷な現実と直面する。その中で生き残るということは、今まで生きてきた常識と世界観が崩落するということである。敵と戦う前に、まず飢えと病気と闘わなければ生きられない。そのために出来ることはするが、それは過去の生活と決別し異常な世界に生きることである。
 このような話は本ではよく読んだし、『ゆきゆきて、神軍』でも同様の話が出てきた。兵士の経験した壮絶な日常を改めて映像化して見せられ、それが心に刺さる。素晴らしい主題をもった内容の作品だった。

 残念ながら古い作品であり、その古さゆえに映像と演出には不満が残る。現在の技術と演出で再映画化すれば、随分と出来が良くなるのではないか。幸いなことに昨年に再映画化されているようなので、機会を見つけて観てみたい。

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Cape God