劇場公開日 1968年10月12日

肉弾(1968)のレビュー・感想・評価

全15件を表示

3.5時を経るごとに評価が高くなっている

2024年3月27日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

戦後23年目、岡本喜八が脚本監督をつとめたガチガチの反戦映画。

昭和40〜50年代、テレビも映画も本当に反戦ものが多かったのが記憶にある。家族や友人、大切な人を失う設定が必ずセットされていた。
公開当時においては、本作はまさに ″one of them″ だった。

そういう意味では、むしろ、令和のいまに見ることでノイズなしの感覚が得られるかもしれない。

本作は、
戦中戦後の平均寿命の比較からはじまり、
(ナレーションは仲代達矢!)
衝撃?のラストシーンに至るまで、徹頭徹尾、シニカルな視線で当時の日本を斬って斬って斬りまくっている。

古本屋の夫婦、女郎屋の女学生、幼い兄弟、看護婦たちなど個性豊かで現実離れした登場人物群が、
まるで『オズの魔法使い』のような夢と現実のハザマにある夢幻の世界観を醸し出している。

主人公の寺田農が乗り組む特攻兵器は、デフォルメされている前提で見ても、胸が切なくなる。
人の命が、恐ろしいほど軽い。

ヒロイン役の大谷直子は、NHK朝ドラ『信子とおばあちゃん』でブレークする1年前に、本作で体当たりの演技を見せている。可憐だ。

全体を通して、モノクロで製作した効果もキチンとでており、後になればなるほど、評価を高める一作だと思う。

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Haihai

3.0寺田農さんを偲んで

2024年3月24日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

興奮

知的

寺田農さん
2024年3月14日肺がんのため81歳で他界

監督と脚本は『殺人狂時代』『日本のいちばん長い日』『座頭市と用心棒』『ダイナマイトどんどん』『ジャズ大名』『大誘拐』『助太刀助六』の岡本喜八

1968年の作品
あえて白黒映画
終戦間近終戦後の二等兵の青春コメディ
戦争映画だが戦闘シーンはない
映画会社から予算をもらえず自主制作で完成させた

粗筋
21歳6ヶ月のあいつ
本来なら大学生だった
もっと勉強しておけば良かったと後悔していた
陸地で様々な人との出会い
昭和20年夏に和傘を被り魚雷付きのドラム缶の中に入り海を漂うあいつは終戦を知らない
漂流の末に東京湾に
屎尿を運ぶ船の船長に発見されたあいつは終戦を知らされる
ロープで繋いでもらい東京の港に運ばれる途中でロープは切れた
時はたち昭和43年夏の海水浴で賑わう海でいまだ漂うドラム缶の中には白骨化したあいつがいた
魂はなお叫んでいた

寺田農の初主演作
当時25歳くらい
声まで若い

全裸の大谷直子
11PMの温泉レポーターうさぎちゃんの由来だろうか
それにしてもあれはなぜうさぎちゃんなのか未だにわからない

下北沢の学生劇に出てくるような理屈っぽい黒い看護師3人組がキャラ的に一番好き

うまく表現できないがなぜか全体的に飄々としている
BGMも夏の島の木陰でハンモックに揺られてる感じでのんびりしている

戦争となれば映画鑑賞どころじゃなくそれ故に自分は戦争は嫌いだが反戦映画という言葉を好まない
戦争映画で充分
わざわざ反戦などとメッセージを掲げるとパヨク臭くて良くない

配役
自称ねずみの特攻隊のあいつに寺田農
両親と兄を戦争で亡くした女郎屋の若きカミさんで因数分解を解いていたおさげのセーラー服の少女「うさぎ」に大谷直子
あいつの父に天本英世
学校長閣下に今福正雄
B29の爆撃のせいで両腕がない古本屋のオジイサンに笠智衆
観音様のような古本屋のオバアサンに北林谷栄
女郎屋の前掛のオバサンに春川ますみ
雨のなかで出会う軍曹に小沢昭一
軍曹のカミサンに菅井きん
漁業組合の飯炊きをしていたがアメリカ兵の妾にされるのが嫌であいつの拳銃で自殺を図るも失敗するモンペのオバサンに三戸部スエ
浜辺で出会う少年に雷門ケン坊
少年の兄に頭師佳孝
竹刀で少年の兄を叩く教師に園田裕久
あいつらを怒鳴る区隊長に田中邦衛
女郎屋の行き先を聞かれる憲兵に中谷一郎
ひげの下士官に高橋悦史
あいつを助けるオワイ船の船長に伊藤雄之助
ナレーターに仲代達矢

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野川新栄

4.0主人公の寺田豊の唐突な感じがとてもコミカル

2023年8月19日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

監督・脚本の岡本喜八の動員学徒、幹部候補生の実体験がもとになった戦争映画という。
といっても戦争のシーンはなく、陸軍の理不尽な扱いや本土決戦に向けての特攻隊の訓練、出陣前の兵隊の様子などを断片的に描いている。
若い女性(大谷直子)との淡い恋心も出てくる。

主人公の寺田豊の唐突な感じがとてもコミカル。自分を失わないものの、特攻への訓練にがむしゃらに取り組む。
皇国日本。その結果、主人公はどこに向うのか。

オムニバス的でニヤリするところもある。多くの若者を死にやる戦争の愚かさ。それをストレートに表現する訳ではないが、今の時代から見ると、主人公の真剣さが逆に可笑しくもみえる。

この時代の映画からは、俳優の生々しい迫力が伝わってくる。かっこよく見せるというのではなく、さらけ出しているから迫力がある。

@広島市映像文化ライブラリー

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M.Joe

5.0ドラム缶から出られない

2023年8月17日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

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しゅうへい

5.0人生で一番心に残る邦画

Mさん
2022年9月2日
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17歳で見て以来、私にとってこれを越える邦画はない。
大谷直子さんのデビュー作品。大谷さんも撮影時は17歳。とても綺麗でした。
子どもたちにも勧めたけれど、「よかったけど、お父さん程は感動しなかったかなあ」と言われた。

追記
寺田農さんが亡くなられたそうです。大変ショックを受けています。
自分にとって、この映画がどんなに大切な映画か伝えなかったことをとても後悔しています。
ご冥福をお祈りいたします。

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M

4.0戦争はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。 米子映画事変万歳!🙌

2021年11月28日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

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知的

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たなかなかなか

4.0日本人は76年も経って何世代も変わっても、結局同じ、変わりないようです そんなペーソスを噛み締める映画です

2021年5月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

世紀の名作「日本のいちばん長い日」のエピローグのような作品です
本土決戦を軍部がいくら呼号してみても、実態はこんなものだったというものです
近代的な装備、潤沢な兵力と補給で迫ってくる米軍を迎え討とうにも、もはや肉体を爆弾とするしかない
それが「肉弾」という意味です

つまり「日本のいちばん長い日」と表裏一体をなしています
セットで鑑賞されるとよろしいかと思います

悲愴をもはや突き抜けて、ペーソスの段階でしかないとコメディタッチで本土決戦の準備に勤しむ学徒動員された大学生の主人公を描いています
ちょうど東京で「日本のいちばん長い日」での緊迫した終戦工作が行われている数日間のことです

映画会社の資金をひきだせず、事実上の自主制作のプライベート映画の趣です

しかし見応えがあり印象に強く残る映画だと思います

コロナ禍で、オリンピックの開催が危ぶまれています
何が何でも開催するのだと、戦争中の軍部のようなことを主張する人々がいます
中止すべきとか言おうものなら非国民と言われそうです
でも感染状況はどうか
緊急事態宣言は延長を繰り返し、その地域も拡大していくばかり
頼みのワクチンの接種はそれを巡って大騒動
まるで本作のような有り様です

主人公のあいつのように、悲愴にならずおかしみを持って生きて行くほかないようです

日本人は76年も経って何世代も変わっても、結局同じ
変わりないようです

そんなペーソスを噛み締める映画です

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あき240

3.5いやー知りませんでした。 悲惨さ、むごさを見せつける反戦映画は数あ...

2017年3月8日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

いやー知りませんでした。

悲惨さ、むごさを見せつける反戦映画は数あれど、こんなコミカルに、しかししっかりと戦争の無意味さを教えてくれる作品があろうとは。
地獄の黙示録のようなグロが苦手な人もこの映画なら大丈夫。もっと多くの人に見られてしかるべき良作です。

名もなき「あいつ」が主人公の何かよくわからぬ展開なのですが、なぜか不思議と引き込まれてしまいます。女郎部屋の話が効いてるからかな。もちろん大谷直子のセクシーショットも。こころなしか土屋太鳳に似てる気がします(笑)

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はむひろみ

3.5映画的!

2016年9月18日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

すごいの見ちゃったねぇ

『肉弾』1968年公開 岡本喜八監督の日本映画 白黒・スタンダード

皮肉で滑稽でものすごい戦争批判、ほぼ寺田農一人芝居+大谷直子♡

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mamagamasako

3.5嘘、嘘、嘘

2016年8月15日
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トラウマ映画かな。昔、見たような気がする。素っ裸で走る大谷直子が衝撃だったのかな。
実際に大戦の経験談を聞くと、今と変わらぬ日常と戦争の異常な状況が同居しているもんだが、この映画はまさしくそれ。そして嘘で塗り固められた建前がのさばり、それを痛烈に揶揄する。正直言って笑えなかった。闇が大きすぎる。日本で一番長い日で、監督は当時の政権にあった人物をこき下ろす意図は感じられなかった。では、あいつをこういった目に遭わせたのは誰か?あいつは建前の嘘を看破していたが、建前が支配する社会を覆す方法は知らなかった。上も下も覆せない日本人自らが自らに覆った蓋。覆す術はない。そういう民族性を哀しく伝えようとしている。ドラム缶に乗って。

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Kj

3.5笑える…でも哀しい

2016年7月30日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

寝られる

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とば

3.0世界で一つの神の国

2015年10月31日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

悲しい

総合60点 ( ストーリー:60点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:60点|音楽:65点 )

 理屈が全く通じない頭ががちがちの上官がいて、レコードの針が飛んだり、ところてん式に押し出されたりという演出が可笑しい。戦時の日本への皮肉と滑稽さをもった文芸作品で、当時の世の中に対して言いたいことを伝える小さな劇を連ねる演出で楽しさも感じさせるが悲しみもある。
 でも劇を通して戦争に対する主張が強い。だから映画として面白いかと言う視点で考えると、必ずしも自分の趣味ではなかった。

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Cape God

4.5これぞ映画。

2015年1月7日
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笑える

悲しい

幸せ

引き込まれた~。のめり込んだ~。
なんだろ?一つ一つの場面が新鮮だ。一兵の戦争への道を純粋な気持ちと葛藤と未来への希望をコミカルに作られてる。コミカルゆえに悲しい出来事の場面もせつなく画かれていてのめり込んで観てしまった。この作品を観て物に溢れた今の時代より当時の時代の方が人間生き生き出来るような気がしました。当時は戦争で貧困と死への恐怖の時代だがなんか人間の希望や知恵、生きると言う価値観を体全体で感じてる気がして羨ましいと思いました。もちろん戦争はいけない事ではあるが平和が当たり前のような現代もいけないような気がしました。この映画はそう言う気持ちにさせてくれる映画でした。後当時高校生だった大谷直子さんの体を張った演技は圧巻でした。無論寺田農さんの演技も良かったです。

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エイジ

4.52回目。

2014年11月3日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

幸せ

学生の時に岡本喜八にハマって観たけど改めて終戦時期にテレビで観てとてもよいです。
戦争のドキュメンタリー番組をたくさんNHKでやってるのと並行して観ると、改めて戦争中の悲惨な背景をリアルに描きながら人が幸せに見えたりキャラクターに愛情を感じさせる岡本喜八はやっぱり天才だと思う。
抽象的な表現も入るけどちゃんと娯楽になっていて感動する。戦争をちゃんと語りながら人を笑わせるなんてすごい。

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スベスベマンジュウガニ

4.5「戦争に負けたらひどい目にあう」

2009年12月23日
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Chemy