劇場公開日 1992年10月3日

「すごい疲れた」鉄男II BODY HAMMER 因果さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5すごい疲れた

2022年5月1日
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精神の衝動と身体感覚がダイレクトに結びついた「鉄男」という異形の生物。彼の怒りや悲しみは一切の仲介物なしに純粋な映像的暴力として示現する。初期の石井聰亙作品のようなパワフルさがある。

けれど石井聰亙がそうだったように、こういう作風はいずれ限界を迎える。というか受け手側に限界が来る。前作『鉄男』のプレーンながら最上質な出来を鑑みると、本作のさらに過激で突飛な描写や演出も、すべては前作に対する対抗意識の表れのように思えてしまうのだ。「前作よりいいものを」という作家の目配せが、かえって純粋なる暴力世界に水を差している。

超ボソボソ声の日常パートと爆音ガンガンのバトルパートという二極的演出も、80〜90'sのインディーズ映画にありがちな悪しき作家主義という感じで興醒めだった。映画は受け手に優しくあるべき、とまでは思わないが、ここまで突き放されるともうついていけないというか。ついていきたいと思える何かもないというか。疲れ果ててしまった。

因果