劇場公開日 1992年10月3日

「バブル崩壊の精神風景」鉄男II BODY HAMMER あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0バブル崩壊の精神風景

2020年5月24日
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鑑賞方法:DVD/BD

1992年10月公開
正にバブル崩壊の最中
自分には本作は前作同様バブル崩壊の精神風景を描いたものに見える
冒頭の小綺麗なマンションの一室に暮らす家族
デザイナーズコレクションのブランドものばかりの衣服
それが崩壊し最後に家族は湾岸のどこかで佇む
遠景に建設中のまま工事が中断したままのようなタワーマンション群が見える
主婦は静かねと独りごちるのだ

それから28年も過ぎさった
その湾岸もお台場や月島やのように、今は開発しつくされている
鋳物工場の跡にみえる廃工場はとっくにタワーマンションになっているだろう
若い夫婦は60歳近い、子供は40歳くらいになっているはずだ

遠く過ぎ去った過去
バブル崩壊とは昔の世代の戦災の記憶のようなものだ

鉄とワイヤーの男達との訳の分からない戦いとは
バブル崩壊の理不尽さの暗喩なのだと思う

このようなバブル崩壊の戦災は、セピア色の回想シーンで紹介される昭和の30年代~40年代に根源的な原因があったと本作は主張している
この家族の親の世代に問題はスタートしていたと

人間性や家族愛はその時代に死んだ
だからこうなったのだと

いまは鉄とワイヤーの時代だと
鉄とは金、ワイヤーとはネット
21世紀がどういう社会になるのか、その方向を指し示してもいたのだ

あき240