次郎物語(1955)

劇場公開日:

解説

乳母の家に里子に出されていた為に生家に帰っても肉親になじめぬ少年が母の死、生家の没落等の出来事を経て愛と理性に目ざめつつ成長して行く過程を描く。故下村湖人の小説を「しいのみ学園」の清水宏(1)が脚色、監督。「花真珠」の鈴木博が撮影に当る。主なる出演者は「たけくらべ」の望月優子、「しいのみ学園」の竜崎一郎、花井蘭子、「王将一代」の木暮美千代、沼田曜一、他に少年俳優の大沢幸浩、市毛勝之、友山幸雄、渡辺四郎など。

1955年製作/98分/日本
原題:A Boy Named Jiro-san/A Boy Named Jiro
配給:新東宝
劇場公開日:1955年10月25日

ストーリー

小高い丘の分教場で小使をしながら細々と暮らしている勘作、お浜夫婦のもとに病弱な次郎が預けられてから早くも七年、夫婦はわが子より可愛い腕白ざかりの次郎を、心ならずも村一番の旧家本田家に返さなければならぬ日が来た。手許に引き取ったものの勝気な生みの母民子と祖母は、次郎がすこしも自分たちになじまないのは蔭でお浜が入れ智恵するからだと邪推し、長男の恭一や三男俊三よりもきびしく躾けようとするが、祖父と父俊亮は何かにつけて次郎をかばうのだった。次郎が小学校へ入学してまもなく、祖父は世を去った。屋敷を人手に渡した一家は町でささやかな酒屋を開業することになり、次郎だけは民子の実家にあたる正木家に引きとられた。やがて、病に倒れた民子らも正木家に帰って来るが、次郎の心からの看護はどんなに母を喜ばせたことであろう。秋風が吹き初めるころ、容態が急変した民子は、駈けつけたお浜に詑びながら息を引き取った。中学へ入るようになって、次郎は再び本家へ帰った。新しい母のお芳を次郎はどうしてもお母さんとは呼べなかった。お浜の娘お鶴が女中として住込むようになったのも、そのころのことである。修学旅行の宿で初めてお芳の深い愛情に心うたれた次郎は、土産物を抱えて「お母さん!」と叫びながらわが家へ駈け込むのだった。そして、次郎を抱きしめるお芳の眼にも、涙がキラキラ光っていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5実母と乳母と継母と...  三人の母への気持ちに戸惑うセンチメンタルI・餓男映画

2023年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 昭和初期の文豪下村湖人による教育小説が原作で、映画化だけでも1941年・1955年・1960年・1987年の都合四回も制作されている名編。
 今回放映された1955年版は、昭和初期の旧家の次男坊を主人公に、三人の母との出会いと別れを通して少年期の成長と卒業を切り取ったジュブナイル的人情譚。
 既に"母子もの"という物語ジャンルが共感を得られず、少なくとも同時代的作品としては絶えて久しいわけですが、特に自分の世代としては少年期に毎年放映されていたアニメの世界名作劇場が懐かしく、今観ると一周廻って新しいとともに今世の作品には無いドラマツルギーが感じられてなかなかに意義深い作品でした。
 原作小説は未完のままに終わったということですが、幼少期よりお家の事情に振り回されてきた次郎が大人になるに際し、戦乱の中でより閉塞状況が強まったとしても来たるべき世代にはまたぞろお家の論理で縛るようなことはなかったと信じたいもので。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

4.0原作は下村湖人

2023年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

次郎には3人の母が居た。
病弱だったので田舎に預けられ、ばあや(望月優子)に育てられる。
元気になり、小学校に上る前に実家に引き取られ、実母(花井蘭子)や祖母に厳しく躾けられる。
実母が亡くなり、継母(木暮実千代)がやってくるが、馴染めずにいた。
子供の頃に見たような気がするが、全く覚えていなかった。
泣ける。

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いやよセブン