劇場公開日 1991年12月14日

「責任を取りたがらない人々。」12人の優しい日本人 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0責任を取りたがらない人々。

2021年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

知的

大笑いさせていただきましたが、これが自分の裁判だったら笑えないよぉ。

冒頭、無罪に手を挙げていながら「本当はやっていると思うけどね」って(笑)。
「いいのかそれで?」と突っ込みたくなるが、人の人生を決めるのは恐ろしい。引き金は弾きたくない。うん、皆”優しい日本人”。

オマージュを捧げられた作品はまだ観ていないけど、
こちらは一人ひとりの言動にあるある感満載で、笑っちゃうと同時にわが身を振り返りヒヤリ(^_~;。
いろんな日本人が出演します。
真実を行方を探るミステリを装いながら、映画の狙いは”優しい日本人”の方々の動き。
証拠を検証するディベートではなく、日本でのよくある会議の縮図。
感情論あり、意見の押し付けあり。でも意外な人物が一番肝心なポイントを見ていたというオチあり。
意見を言えるように支えあう場面も”優しい日本人”。

裁判としてみると穴がたくさんありすぎる。(そもそも、証拠が手元にない。裁判での証言はメモ魔の方がご自分のメモから、もしくはそれぞれの記憶から引っ張り出してきてくれるけれど。それに、陪審員11号の自称職業、他の方から突っ込まれないところが笑える)
 けれど、後半の謎解き物のような展開や、各人物勢力のどんでん返し、くっついたり反目したり、そんな人間模様に笑わせられながらも、手に汗握る。

 脚本の三谷氏の人間観察力に驚嘆するとともに、つくづく底意地が悪いなぁとも思う。
 でも、この映画をおもしろいと思ってしまう私もなんだけれど。

芸達者達の饗宴。
 トヨエツの仕草の綺麗さ。
 あの人のあの…と日本が誇る役者達。見応えあります。

とみいじょん