劇場公開日 1958年6月22日

巨人と玩具のレビュー・感想・評価

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4.0映像感覚は60年代、70年代を思わせるようなモダンさがあります

2020年2月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

むろん巨人は資本主義社会のこと
玩具は京子に西が言い放つように、それに使われ翻弄される人民を表しています
だからと言って単純な社会主義的な主張の映画ではありません

窓の下の大通りでライバル会社の宣伝カーの前をジグザグデモを行うデモ隊がすすんでいます
しかし、それは主人公にも学生時代の友人であるライバル会社の社員にも目には入ってはいません

その友人と学生時代を懐かしんで歌声喫茶に行くが、もはやナンセンスしか感じられない

1958年公開の映画です
だからむしろ60年安保闘争に向けて社会主義運動は昂進していた頃です

一方、経済は1955年からの神武景気に始まる高度成長期に突入している時代です

ここに現実があります
社会主義運動よりも資本主義の苛烈な競争に日本人は飛び込んでいったのです
権藤課長のように、血反吐を吐いても働かないと食っていけないのが日本なのです
日本だけじゃないでしょう
世界中、より良い暮らし、収入を得るにはこうするしなないのです

だから60年安保闘争の前にも関わらず、冷めた視線がデモ隊と歌声喫茶に向けられていたのです

といって資本主義への視線にも厳しいものがあり、むしろ表面的には資本主義への批判の映画となっています

では本作は何を主張しているのでしょうか?
社会主義にも資本主義にも理想的な世の中なんてない
苦しくたって、嫌で嫌で仕方無くても、夜の繁華街をサンドイッチマンをして練り歩かないといけないのです

もっと笑顔で!

ライバル会社の女性が声をかけてくれます
そう、それこそそんな運命を西のように受け入れて働いていくしかない私達へのエールなのです
それが本作のテーマなのだと思います

50年代の映画であるのに、カラーワイド
しかもその映像感覚は60年代、70年代を思わせるようなモダンさがあります
ヒロインの京子の造形は70年代のものと思えるほどの先進性です

衣装や美術のセンス、プロダクションデザインは大変高いものもので驚嘆します
島京子の普段着は白のTシャツとジーンズでした
まるでそこだけ現代のようです
宇宙服のデザインも単なる本物風では無く、デザインのセンスの高さが感じられるものです

1967年のジャック・タチ監督のプレイタイムと同じような味わいを感じました

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あき240

4.0キャラメル会社の話だけど非常にビター味

2020年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

1958年大映。以前に名画座で観たが再見。初期から増村保造監督の演出はスピーディーでモダン。やっぱ好きだなぁ。

主人公は企業内で必死にもがくサラリーマン。昭和30年代の文化がたっぷり見れるが、社畜姿は今とまるで変わらない。課長が述べるメディア論も現代に通じる。鋭すぎ。
ヒロインの野添ひとみの明るさも今日的なキャラだ。(土人の歌シーンの前時代感凄いけども)

テーマはありきたりではあるが、語り口とグルーヴが特異で全く古さを感じない。むしろ新しさがあると言っていい。
多くの現代人に見て欲しい傑作。

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散歩男

3.5今も昔もサラリーマンは血を吐くほどつらいよ

2019年2月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

キャラメルを主力商品とするある製菓会社は売り上げに伸び悩み、宣伝部はますます渇を入れられる。
宣伝部は街で拾った女の子をモデルに起用。虫歯が目立ち、格別美人でも可愛くもないが、自然体の魅力で人気者になる。
が、キャラメルの売り上げは一向に伸びず…。

1958年の作品。
高度経済成長期真っ只中。
それを窺えるモーレツ・サラリーマン映画。
増村監督の演出はテンポよくエネルギッシュではあるものの、今見ると古臭くステレオタイプではあるが、テーマは現代にも通じる。
過剰な商品宣伝、ライバル会社との競争、人気者になって天狗に…。
宣伝マンにはプレッシャーがのしかかり、胃が痛くなる。例えではなく、本当に血を吐くほどに。

見る前はもっとコミカル要素あって、痛快なサラリーマン映画かと思ったが、違った。
モーレツでもなく、痛烈な社会風刺サラリーマン映画だった。

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近大

4.0いい映画だった!

2016年7月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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とば

3.0サラブレッド川口浩

2016年7月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

生まれる前の作品なのに
日本社会の縮図が今となにも変わってない、、、
「おとうと」(1960)で川口浩の演技を見てから釘づけ
なんで役者やめちゃったんだろぅな~もったいなかったな
ああ~探検隊

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mamagamasako