劇場公開日 1953年8月12日

「新進女優・若尾文子への視線」祇園囃子 よしたださんの映画レビュー(感想・評価)

2.0新進女優・若尾文子への視線

2015年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

 何度かTVで観たことのある作品。溝口健二監督の作品として意識して観るのは初めて。
 若尾文子がまだ10代だろう、とてもみずみずしく、それでいて男の目を離さない魅力をすでに放っている。
 京都・祇園の花街の人間模様を、その裏側の薄汚い部分も含めて描いている。華やかな世界には必ず裏が存在すること、これを映画を通して描いたその意図はどこになるのだろうか。
 映画の世界に飛び込んできたばかりの若尾と、舞妓になったばかりの美代栄の姿が重なる。映画の世界もお茶屋の世界も生き馬の目を抜くようなことがある。そこで生きていく覚悟を問う視線が女優・若尾文子に注がれているように見えるとしたら、それは若尾に肩入れしすぎであろうか。

佐分 利信