劇場公開日 1991年7月20日

「大人になってから分かるこの映画の良さ」おもひでぽろぽろ スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大人になってから分かるこの映画の良さ

2016年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

昭和の香り漂う作風に、妙にホッとさせられたと言うか、回想シーンなんか私は全然生まれていない時代なのに何故か懐かしいと思わされたりで、とても心安らげた作品でした。
おそらく劇中で描かれた時代に生まれていようが生まれてなかろうが、高畑勲監督の温かみのある絶妙なタッチによって、昭和生まれならどの世代でもある程度懐かしいと感じられるような作品になっていたのではないでしょうか。
これは実写とはまた違う、アニメだからこそ出せた味だった気がしましたね。

それと昔見た時は正直そこまで面白いとは思えなかったのに、今になって見てみたら、この作品に対する思いは全く違うものになっていて、今回は思いっきり感情移入させられてしまいましたよ。
ある程度大人になると、自分を省みると言うか、自分と向き合う時間って絶対必要なんですよね。
この映画では、小学5年生の自分を引き合いに出して向き合っているのが、何とも絶妙と言うか上手いなと思いました。
何のしがらみも無くわがままにできたギリギリの年頃、だからこそ忘れていた何かがそこにあると言う感じで、自分の小5時代も思わず思い返してしまいました。

あんなクラスメイトいたよなぁとか、兄弟げんかあるあるとか、本当に懐かしい。
さすがに脱脂粉乳の味は私は分かりませんでしたが、そんなに不味いものなんですね(笑)
パイナップルのシーンも好きだなぁ、確かに初めて食べたパイナップルはあんな感じでした!
昭和の小学校的甘酸っぱい恋の話も良かったですね、昔は大体あんな感じになりましたもんねぇ・・・。
まあ全体的に私もかなり面倒臭いタイプの子供だったので、タエコの言動に激しく共感しました(分数のところとか特に)

そんな子供時代と向き合う現代のタエコの設定が27歳だったのは、画や今井美樹の声の雰囲気といまいちマッチしていなかったようで少々難点だったかなと。
しかもトシオはもっと年下なんですもんね、まあ柳葉敏郎の訛り具合は味があって良かったですけど。
ただ大人になってからも普通じゃなく面倒臭いタイプのタエコを見ていると、何の脈略もないような回想シーンも何気に上手い具合にリンクしていたようで、思わず感心させられましたね。
ラストシーンもエンドロールも良かったなぁ、ジブリ作品では地味な扱いの本作ですが、子供の時は何とも思わなくても大人になってからもう一度見てみたら、きっとまた違った感動を得られる作品だと思いました。

スペランカー