海燕ジョーの奇跡

劇場公開日:

解説

弟分の復讐に暴力団の首領を射殺、フィリピンへ逃亡した沖縄の青年ヤクザの青春を描く。佐木隆三原作の同名小説の映画化で、脚本は「野獣刑事」の神波史男と「赤い帽子の女」の内田栄一、「天使を誘惑」の藤田敏八の共同執筆。監督は「ダブルベッド」の藤田敏八、撮影は「草迷宮」の鈴木達夫がそれぞれ担当。

1984年製作/133分/日本
原題:The Miracle of Joe, the Petrel
配給:松竹富士
劇場公開日:1984年4月28日

ストーリー

フィリピンとのハーフジョーが所属する島袋一家は、琉球連合から破門され脱退し、警察署長立会いのもとに解散声明を出した。ある夜、酔ったあげくの喧嘩がもとで、ジョーの弟分・与那城寛敏が琉球連合那覇派の連中にリンチされ射殺された。復讐としてジョーは、琉球連合理事長金城盛光を射殺した。警察の前に車を乗りすてて、安ホテルに身を隠したジョーは、恋人の陽子に助けられ逃亡した。陽子は、ジョーの親分島袋長幸の情婦ミッチーが経営するスナックのホステスをしていた。こっそりと実家に金を渡しに帰ったジョーは、母ウタから、フィリピンにいる実の父親が十年前に送ってきたエア・メールを渡される。逃亡を続けるジョーは、バスの中でかつて刑務所で知り合った上勢頭と再会。ジョーは上勢頭から何人もの海外逃亡を世話したと聞き、フィリピンに脱出することを夢みるが先立つ金がなかった。ミッチーから、島袋組の幹部だった亀千代が琉球連合に寝返ったと聞かされたジョーは、亀千代が経営する金融事務所を襲い、金をまきあげた。フィリピンに渡ったジョーは、マニラホテルへ暗黒街に顔の広い与那嶺を訪ねる。ジョーは、父の名前ロペスを名のって与那嶺の仕事を手伝った。ある日、陽子がマニラにやって来た。彼女はジョーの子を身篭っているという。ジョーは父の旧友である食堂の女将ヤス子に出会い、彼女から、ロペスが貧民街のトンド地区で床屋を開き、落ちぶれて暮らしていることを知らされる。ジョーはトンドに出かけ、年老いた父ロペスに髪を刈ってもらうが、息子であることを言い出せずに別れる。その頃から、フリーライターの沢井という男が、ジョーの身辺に出没しはじめた。ジョーのことを記事にし、特ダネにしようと目論んでいる。長幸がマニラにやってきた。長幸を出迎え、車に乗せたジョーたちは、後ろの車から、突如、襲撃された。それは長幸を尾行してきた琉球連合の殺し屋たちだった。殺し屋を殺り、陽子と長幸を埋葬に車を走らせたジョーは、途中、フィリピン兵に射たれ、車ごと宙を飛んだ。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第8回 日本アカデミー賞(1985年)

ノミネート

主演男優賞 時任三郎
主演女優賞 藤谷美和子
音楽賞 宇崎竜童
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フォトギャラリー

映画レビュー

2.5奇跡?

2024年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

悲しい

単純

寝られる

海原を木の葉のような小舟で滑走する。よく、文学で使われる表現だけれども本当なんだと息をのむ。
そして原田さんのうさん臭さ。
そして、海原を滑走する小舟のごとく、翻弄される主人公・ジョー。
その三点がとても印象的だった。

筋は正直、?。
追われて身を隠しているけれど、恋人はやってくるし、親分も…。見つかるじゃん。なんか切迫感がなく…。あんな命がけで海を渡った意味って???
映像的に、やってみたかったことの羅列?スラム街でのロケと言い、最後戦車まで出てくるし。
一人の男の転落人生とみれば、それなりなんだけれど、
キャッチコピーや題名と重ね合わせると???が頭を飛び交います。

原作未読。

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とみいじょん

3.5とてもよかった

2022年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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吉泉知彦

3.5異邦人の苦悩

2022年4月9日
iPhoneアプリから投稿

藤田藤八作品はこれと『八月の濡れた砂』くらいしかまともに見たことがないけど、アメリカンニューシネマ的な反抗心と破滅美を演出するのが上手いな〜という印象。

沖縄という日本的アイデンティティの辺境からもついに追い出されたジョーが自身のもう半分の血のルーツであるフィリピンに向かうのは必然だ。フィリピンでの生活に徐々に慣れていくジョーだったが、最終的には死という破綻をきたす。

フィリピン軍の戦車に突っ込んで死ぬラストシーンはさながら『バニシング・ポイント』を彷彿とさせた。

どこへ行っても異邦人であるという「混血」の疎外感と絶望が、藤田藤八らしい衝動的なタッチで力強く描かれていた。

深作欣二『やくざの墓場 くちなしの花』もそうだが、昭和の日本映画で正面切って在日の人々の苦悩を描いた作品というのはそれだけで稀有だし価値がある。

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因果

3.5藤谷さん

2020年3月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

この人ちゃんと演技できるんですね。

フィリピンでえらい危険な交渉があったそうですが、
雰囲気が凄すぎて時任三郎の存在感が軽く見えますね。成立させた製作陣の方々はすごい。

あと、原田芳雄ええなあ。自然すぎて怖い。

脚本は可もなく不可もなくでしょうか。

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filmpelonpa
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