劇場公開日 1964年8月11日

「東宝特撮としての新機軸として不定形怪獣というものを出そうとした意欲は感じる」宇宙大怪獣ドゴラ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0東宝特撮としての新機軸として不定形怪獣というものを出そうとした意欲は感じる

2020年2月13日
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鑑賞方法:DVD/BD

怪獣映画だが、基本ガス人間第一号などの怪人シリーズの系譜に並ぶ、その延長線上にあるというべき作品

見所は4つ
不定形怪獣ドゴラの特撮
若松大橋などの北九州の特撮シーン
若林映子の現代的美貌
ダンユマの変な外国人ぶり

ドゴラの不定形怪獣というイマジネーションをCGの無い時代に見事に実写で映像化している
大変な苦労を重ねたとのことだ

若松大橋を望む北九州市街を一望するスペクタクルはワイドカラーを活かした素晴らしい映像で、ミニチュアセットは迫真の出来映え
螺旋を巻いて舞い上がっていく石炭の映像も迫力がある

若林映子は前作のキングコング対ゴジラにも出演をしていたし、次の三大怪獣地上最大の決戦では更に重要な役で出演をして特撮シーンファンを痺れさせる
そればかりか、本作3年後の1967年には007は二度死ぬでボンドガールにまで抜擢されて行くのだ
ルパン三世の不二子のようなボリュームがあって華もあるところが当時の女優にはなかなか他にいない魅力がある

ダンユマはマークという謎の外国人役
この人も特撮ファンなら顔を覚えている人だろう
マークは007を意識した役で、本作公開当時はゴールトフィンガーが公開されたばかりの頃でブームにあやかったもの

映画としてはさして面白くもなく、前半睡魔に襲われるほど
ドラマパートと特撮パートの物語の噛み合わせもあまり良くない
不定形怪獣というものをだして何をやりたかったのか?
そこと結びつくようなドラマパートでは全然ない
よってカタルシスも何もない

東宝特撮としての新機軸として不定形怪獣というものを出そうとした意欲は感じる
そこは評価したい
しかし、核心的な特撮技術であるミニチュアセットや繰演、合成といったものに特段の進歩はないのだ

これだけの特撮技術を駆使できる人材を抱え、大ヒットにも恵まれて資金も豊富であったはずなのに、次世代に向けての特撮の模索がこの不定形怪獣だけで終わってしまったのは実に残念だ
本当の意味での特撮技術の革新にむけて研究を重ねるべきだったのだ

海外から特撮のライバルたちが技術革新をはかり、東宝特撮にキャッチアップしようとしていた重要な時期であったのにこうであったのだ

あき240