劇場公開日 1967年12月2日

「軽いのか重いのか・・どっちが本当なんだ 市川雷蔵」ある殺し屋の鍵 タンバラライさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0軽いのか重いのか・・どっちが本当なんだ 市川雷蔵

2024年2月17日
PCから投稿

俳優たちが良いね。佐藤友美も中谷一郎も 西村崑 さんも、とってもいい味出して映画にぴったりはまっていた。特に 中谷一郎は主役を食わないように うまく 中途半端な能力の人間を演じていた。素晴らしい。 そして何と言っても 市川雷蔵 だ。 この主人公のモチベーションが何なのかわからないとか、どこに感情移入したらわからないとか・・そういうものを超越してしまっている。いい俳優というのはほぼ無条件に観客を引きつけることができるんだな。女狐風呂 みたいに軽い役もできればこういった渋い重い役もできるとてもいい役者だ。 そしてこの映画の一番面白いところは ラストシーン。 全体に重い役をやっといて 最後だけパッと軽い雰囲気になって・・・洒落た エンディングだった・
脚本はどっちかっていうと 中途半端で消化不良 気味だった。 これは原作の藤原審爾の手癖みたいなもんだ。彼の作品は映画にしやすい けど 重みが出ない、短い、クライマックスが物足りないという特徴がある。 脚本家がもっと頑張らないとダメだった。ただしテンポが良いので飽きる部分はなかった。
カメラは宮川一夫。 だが、らしさは全く出ていない。カラーになると どうしても良い 色を出すのに金がかかるんだな。それで 日本映画は負けてしまった・・。 残念なことだ。

タンバラライ