劇場公開日 2007年4月21日

「【”大丈夫、私は音楽だから・・” ”音楽の精”と音楽に魅了された人々の姿を描いた作品。成海璃子さんの意思の強い大きな眼と胆の据わった姿に魅了された作品でもある。】」神童 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”大丈夫、私は音楽だから・・” ”音楽の精”と音楽に魅了された人々の姿を描いた作品。成海璃子さんの意思の強い大きな眼と胆の据わった姿に魅了された作品でもある。】

2021年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

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ー 成海璃子さんは、「武士道シックスティーン」の裂帛の気合を込めた声と、女性剣士としての美しき佇まいに魅了され、デビュー作の今作を観た。
  そして、矢張りデビュー当時から凄かったのだと、再認識した。ー

■印象的なシーン<Caution! 内容に触れています。>
・成瀬うた(成海璃子)と、和音(松山ケンイチ)の出会いのシーンから、うたは和音にツッケンドンな態度ながら、懐いて行く幾つかのシーン。
 ー うたは、明らかに自らにピアノの素晴らしさと、うたの絶対音感を信じ、ピアノを与えた父(西島秀俊)の面影を見ていたのである。
 そして、成美璃子さんは、うたのような、口のきき方は男のようだが、魅力的な女性を演じさせたら、(当時)ピカイチだなあ、彼女こそ今後の邦画を担っていく神童ではないかなあ、と思っていた。 ー

・和音の瀬戸際の音楽大学入学試験のシーン。うたの強い想いが伝わり、ピアノ科主席入学を果たす和音。

・うたの幼き頃、とても好きだった亡き父と”ピアノのお墓”から、うたが幾つかのピアノの鍵盤を鳴らし、お気に入りのピアノを選ぶシーン。
 ー ラストと連動している、印象深いシーンである、ー

・ドイツの名ピアニスト、リヒテンシュタインの弾くピアノを同じように決める、うたの姿。それを見てうたの音感の高さを確信するリヒテンシュタイン。
 そして、彼が病のためリサイタルをキャンセルし、うたを代演者に指名するシーン。弾いたことがない曲を、いきなりオーケストラと共演させることに、激しく抵抗する母(手塚理美)と心配して駆け付けた和音に対し、落ち着いた笑顔でうたが言った言葉。
 ”大丈夫、私は音楽だから・・”
 そして、大舞台で緊張する事もなく、席の高さが合わないと言い、楽譜を席に乗せ(短い間に暗譜している。リヒテンシュタインの練習を聴いていて、音が頭に刻まれているのである。)ピアノを弾くうた。
 終了後、割れんばかりの拍手の中、ぎこちなく頭を下げ舞台袖に下がる時に、倒れ込むうた。
 ー ”音楽の精”がうたから、離れたのか、緊張の糸が解けたようだと、解釈する。ー

・うたの耳鳴りの幾つかのシーン。
 - 父と同じ運命なのか・・、と危惧する。ー

・うたはふらふらと、どこかに歩いて行く。魂が抜けたように・・。
同級生の池山君(彼は、うたにしょっちゅうちょっかいを出している事から、好きなのだろう・・、と思う。)は、心配して一緒にどこまでも歩いて行く。
そして、二人が到着した場所は、あの”ピアノのお墓”だった・・。

<ラストの、うたと和音の思い出のピアノでの連弾のシーンは、色々な解釈があると思うが、私はうたが、亡き父と連弾している事を暗喩しているシーンとして鑑賞した。
 今作の魅力は、松山ケンイチさんを始めとした実力派俳優さんの中で、屹立した存在感を醸し出していた映画初出演!の成美璃子さんの魅力に尽きると思った作品である。>

NOBU
kossyさんのコメント
2021年5月31日

NOBUさん、夜分にどうもです。
書けるかな~と思っただけで、実際にはひとつも書いていません(笑)
たまに小説ではなく、シナリオを読んでみるのも楽しいものです。

kossy
kossyさんのコメント
2021年5月30日

NOBUさん、おはようございます。
この頃デビューだった成海璃子さん。大いに期待してました!
去年結婚したことから、今後はなかなか見られないかもしれませんね。
原作は映画の前に読まない主義なのですが、今作は月刊シナリオに載ってた脚本を読んでしまってました・・・脚本書けるかなぁ~なんて考えてた時期もあったので(汗)

kossy