劇場公開日 2006年10月28日

木更津キャッツアイ ワールドシリーズ : 映画評論・批評

2006年10月24日更新

2006年10月28日よりシネマライズにてロードショー

ぶっさんの死を引きずるキャッツ4人の成長物語に

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「日本シリーズ」当時から「次は『ワールドシリーズ』だ!」と盛り上がっていたのに、いつしか心のどこかで諦めていた完結編。その理由は、ぶっさんが22歳で死んでしまうという設定。連ドラから約5年、前作から3年の歳月でキャッツを演じる5人はそれぞれ役者としても成長したけれど、そのぶん見た目も大人になっているわけで。とりわけ、22歳で時間を止めざるをえないぶっさん役の岡田と、もはやバンビとはいえないほど大人びた櫻井には、この歳月が重くのしかかると思われたのだが!

物事はシンプルに考えたほうが、うまくいく。舞台を素直にぶっさんの死後3年にすることで、本作はぶっさんの死を引きずるキャッツ4人の成長物語に。なかでも、櫻井自身の成長が物語を引っ張る原動力になっているのだ。そう、クドカンは、あの野球がらみの名作映画の枠を借りて、人は成長しつづけるという真実をほろ苦く浮かび上がらせる。もちろん、彼らしい笑撃シーンや連ドラ時代からのお馴染みの台詞をちりばめながら。お祭り騒ぎだった「日本シリーズ」もそれはそれで楽しかったけれど、正攻法の「ワールドシリーズ」はまさに完結編にふさわしい。「ばいばい」はいうけれど、「木更津キャッツアイ」は永遠だよ。

杉谷伸子

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