「私にとっても幻だった映画をついに鑑賞!」ブラック・サンデー KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0私にとっても幻だった映画をついに鑑賞!

2021年6月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

製作直後はテロ対策上等の理由から
長く非公開となった有名な作品でしたので、
私にとっても幻の映画でしたが、
ついにレンタルして観ることか出来た。

この映画は、製作から34年後に
キネマ旬報ベストテンでの洋画部門34位との
不幸な歴史を背負わされてしまったが、
本来の公開時に上映が禁止されたことが
ある意味納得も出来る
リアリティ感溢れる優れた作品だった。

私は少し前の「グラン・プリ」のレビューで、
ジョン・フランケンハイマー監督は
「大列車作戦」と合わせ、本物の香りのする
映画作家と評価させていただいたが、
この作品でも同じ印象を持った。

特にスーパーボウルの大競技場での大群衆の
映像は、CGの無い時代の映像としては、
本物の香りが漂ってくるフランケンハイマー
監督らしいシーンだった。

私が思うに、彼の作品は
“大人のサスペンス”と形容出来るような、
落ち着いたリアリティ感に溢れており、
この作品でも特に前半は、
緊張感漂う納得の描写が続いた。

私の特に好きシーンは、
モサドの少佐が体力的に、更には
自らの行為自体にも疑問が生ずるという
精神的な限界を感じながらも、
同僚の死を契機に
再び気力を取り戻し、自ら点滴を外して
テロリストへの対峙を決意するシーンだ。
繰り返される中東悲劇の象徴的場面でも
あると理解しつつ。

ただ残念なのは、後半になって女テロリスト
の仲間が海岸線で射殺されるシーンからは
リアリティ不足を感じてしまい、
機長が交代する経緯や、
機関銃を撃ちまくっての特殊爆弾を積み込む
展開には流石に無理栗さを感じた。
飛行船が満席の大競技場に降りてくるとの
余りにも有名な驚愕のパニックシーン
を描くためとはいえ、
原作がどうなのかは私には分からないが、
少し強引ではなかったか。

果たしてモサドとFBIはテロを防げたと
言えるのかどうか。
テロリストはその結末を見届けることは
出来なかったが、
大統領が臨席のスーパーボウルでの
大パニックは、テロリストの目的を充分に
達成したようなもので、
こんな解釈だけでも、
治安維持機構の側からは
この映画を上映禁止にしたくなる理由に
充分なり得ていたのだろうと想像した。

評価は、前半🌟4.5で、後半🌟3.5の、
合わせ🌟4とさせていただきました。

KENZO一級建築士事務所