劇場公開日 1999年4月17日

「何十年もの間、何もないことの意味の総量は、ちょっとした事件の思い出をも上回ることを教えてくれました」ワンダフルライフ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0何十年もの間、何もないことの意味の総量は、ちょっとした事件の思い出をも上回ることを教えてくれました

2020年4月28日
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鑑賞方法:DVD/BD

日本映画的ではない、洋画的な雰囲気を感じました
フィリップ・ド・ブロカ監督のまぼろしの市街戦
あるいはアンドレイ・タルコフスキー監督のノスタルジアとかストーカーとかを思わせるような映像と雰囲気です

テーマもインターナショナルなものでドメスティックなものを志向しないように注意深く演出されているように感じました

最高の思い出をすぐに決められる人は幸福な人生を送ったということは間違いないでしょう
どれにするか迷って決めかねてしまうのも同じです

過去を振り返りたくない、未来の在るべきイメージだけを求めたい
それもまた良い生き方なのかも知れません

何もない、取り立ててこれといった思い出が無い人生が最悪の人生だ
そんなありきたりの結論がテーマかと途中までは侮っていました

しかしそれは良い意味で裏切られました
これと言って何もない取り立てて何もない日々
しかしそれが何十年も夫婦で続けられた本当の意味
何十年もの間、何もないことの意味の総量は、ちょっとした事件の思い出をも上回ることを教えてくれました

一体自分はどの記憶を選ぶのだろう?
あなたはどんな記憶を選ぶのでしょうか?

傑作であると思います
なる程海外の方が評価が高くなる理由もあったと思います

あき240