劇場公開日 1999年4月17日

「ワンダフル哉、人生!」ワンダフルライフ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ワンダフル哉、人生!

2020年1月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

知的

幸せ

是枝裕和1999年の監督第2作目。

開幕は役所もしくは施設のような所で、そこのスタッフのように思えるが…、
否!

人は死んで“あちら(天国)”に行くまでの一週間、“そこ”に留まる。
人生の中で一番大切な思い出を一つ選び、スタッフがそれを再現。
最終日に映画のように上映し、その思い出と共に“あちら”へ旅立って行く…。

設定もさることながら、作風や演出もユニーク。
ファンタジーだが、ヒューマン・ドラマのようなタッチ。
スタッフたちと亡者たちの対話はドキュメンタリーのよう。
元TVドキュメンタリーのディレクターだった是枝監督の手腕が遺憾なく発揮されている。
スタッフの井浦新(当時ARATAで本作でデビュー)、内藤剛志、寺島進、谷啓らは“演技”を感じるが、亡者たちには同じくデビューの伊勢谷友介や映画/演劇界のベテランが配され、まるで彼ら自身の人生を振り返っているかのよう。

人生の中から大切な思い出を一つだけ。
ほとんどの亡者は選ぶ。中には、事細かく注文したり。
が、選べない亡者も。寅さんの台詞じゃないが、人生には生きてて良かったと思う事が何べんかある。一つなんて選べやしない。
が、ある一人は違う。選べないんじゃなく、選ばないのだ。選ばない自分の人生の責任の取り方。

死して、人生と向き合う。
それは亡者だけじゃなく、それぞれ事情を抱えるスタッフたちも。
幸せだった人生。
平凡だった人生。
何も無かった人生。
後悔残った人生。
どんな人生であっても。
生きてきた証。

近大