劇場公開日 1960年9月15日

「どうしようもない気持ちになる」悪い奴ほどよく眠る えらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0どうしようもない気持ちになる

2014年10月26日
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悲しい

怖い

興奮

毎度黒澤作品はストーリーや前情報をなるべく入れずに見ているのですが、今回は復讐モノかと少し上がるテンション。復讐モノにありがちな「復讐なんてくだらないよ」的なメッセージはほぼほぼ皆無で、むしろある人物のその甘さがあの悲劇的な結末を招いていると言っていい。そしてその結末から僕たちが受け取るものは資本主義社会の暗部、大人の汚さ、数の暴力…ああ気持ち悪い。しかし黒澤監督のそういうものに対する怒りがラスト付近のある人物の慟哭に託されている。あれを聞いていると、紛れも無い悪に対する怒りや悲しみが湧き上がり混ざり合いどうしようもない気持ちになってくる。あれは名演でしょう。これと併映されたのが成瀬巳喜男監督の『秋立ちぬ』って心ズタボロになるわ!!どっちも名作!!

えら